既にアマチュアで世界一になっていてもそれに甘んじず、プロの世界で更に活躍したいと願い、今までの自分を変えて成長することに踏み出したリディア。
もともとフェードボール(左から右へカーブするショット)が持ち球だったものを、スイングを修正しドローボール(右から左へカーブするショット。飛距離の点で有利だとされている)に変えて、飛距離も20y以上伸びました。
レッドベターは、彼の考案した新しいスイング理論「ASwing」に基づいて彼女を指導しました。
この理論は、アマチュアが今まで以上に簡単に上達できるのが特徴です。もちろんどんなプロにも有効なことがテストで証明されているのですが、完全にそのスイング方法に沿わせるのではなく、一部を取り入れて彼女の良い部分は失わずに、更なる向上へと導くようにスイングを修正していきました。
世界のトッププロでも、スイングを修正するためには特別な練習をするわけではないのです。ゴルファーが一番求めるのは安定感です。プロでもやはり求めるのは、どれだけ安定してショットできるかです。基本を再確認し、地道な練習を繰り返すのはアマチュアでもプロでも共通することなのです。
リディアのスイング修正の主なポイントは、下半身の動きの調整でした。彼女には、10代のプレーヤーによく見られる脚を使い過ぎるという傾向が見られました。そこでレッドベターは、彼女の膝をゴムでしばり、膝が動き過ぎないようにするドリルやフェアウェーバンカーでティーアップしてドライバーを打つ(=これは、足場の不安定な状況で練習することで、脚をあまり動かさずに、動きを安定させられる効果があります)というようなドリルで練習をさせました。
普通の人は、少し上手く打てるようになると、こういった地味な練習ドリルは止めてしまい、普通に打とうとします。しかしリディアは、ひたむきに繰り返し、取り組みを継続し続ける姿勢をみせたようです。ゴルフ上達にとって最も大切な才能は「忍耐力」なのですが、できたと思っても更にひたすら基本練習を継続することは、とても忍耐力が求められます。誰だって同じことをやっていたら飽きてしまうものです。それをひたすら継続できるところに、リディア・コが世界一の座を守り続けられた要因があるといえるでしょう。
向上心を持ち続けて、基本となることをひたすら継続する。
何ごとにも共通する大切なことですね。
石田 昭啓の「私がレッドベターから学んだこと」
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