地方発イノベーションの秘訣


500 KOBEのプログラムでは、参加スタートアップが5週間、プログラム会場に留まり続ける。その期間中は、バッジリードと呼ばれる運営責任者とEIR(Entrepreneur in Residence)の2名、計3名が会場に常駐する。EIRは、参加した20チームを2つに分け、学校のクラス担任のように最初から最後まで担当した10チームに寄り添うのだ。

ここに、毎週週替わりで3〜4人のトップメンターが派遣される。月曜の午前中に新しいメンターが紹介され、金曜までに1、2回の講義を行うとともに、各自の得意分野に合わせて「1 on 1」と呼ばれるメンタリングが行われる。30分枠のスケジュール調整が行われ、毎日の濃密な予定が組まれていく。例えば前述のBarricaさんは、「ビジネスプランを2分間で披露するピッチ」と「共感を生み出す話術」の専門メンターとして来日していた。

国内で行われるほとんどのプログラムは、特定の会場に缶詰にするようなこともなければ、メンタリングの頻度が週に1回と少なかったりする。

トップメンターの理解力と即断力にほとんどの参加者が驚愕する。ある起業家は「わずか30分のメンタリングでビジネスの本質を理解し、的確な提案をするメンター達の凄さに圧倒されました」と話していた。しかし、ここにも「からくり」がある。来日したメンターたちは、あらかじめ会場のバッジリードやEIRと綿密な情報交換を行い、チームごとの指導方針を共有しているのだ。

神戸市は、イノベーションのエコシステムを備えた街をゴールにスタートアップの育成・集積を目指している。神戸市独自のプログラムも実施したが、どのようなメンターを揃え、どのように運営するのかは、本当に試行錯誤の繰り返しであった。500 Startupsと組んだことは起業家育成に必須であるノウハウ蓄積につながっている。では、その相手がなぜ500 Startupsであったのか。それは次回の記事で触れたいと思う。

文=多名部 重則

千葉功太郎コロプラ
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