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2017.10.31

なぜシリコンバレーのアクセラレータは凄いのか?

「500 KOBEプログラム」デモデイの様子

現在国内では、年間で100を超える「アクセラレータ」と呼ばれるプログラムが運営されている。しかし、そのほとんどは、大企業の新ビジネス開発に主眼が置かれ、スタートアップが持つ技術やノウハウを活用しようとするものだ。

一方で、米国シリコンバレーのアクセラレータは、Y-Combinatorや500 Startupsといった投資ファンドが運営。投資家目線で、起業家をいかに急速に成長させるかがカギを握っている。なぜ国内投資ファンドがこのようなプログラムを組めないのだろうか。

私が所属する神戸市は、500 Startupsとタッグを組み2016年からアクセラレータプログラム「500 KOBEプログラム」を行なっている。そこでまず気づいたことは、アクセラレータを行うには、約20人のメンター(起業家へ指導・助言を行う人材)が必要だということだ。

日本ではまだあまり浸透していない“メンター”だが、これがアクセラレータには欠かせない。起業経験者がいくらでもいるシリコンバレーでは、起業に成功しただけではトップメンターにはなれない。次世代に提供できる専門分野を持っているのかが問われるのだ。テクノロジービジネスの基本となるオンラインマーケティング、デザイン(UI/UX)、投資法務など、いずれかの分野の専門家でなければならない。

昨年のプログラム初日。参加チームに指示を飛ばしていた500 StartupsのAndrea Barricaさんは、10代で成功した女性起業家だった。彼女が創業した会社はいまや、200人を超える従業員を抱え、5つのオフィスを構えている。

日本のプログラムでは金融機関や大企業の役員や部長がメンターを務めることが多いが、彼らのほとんどには起業経験はない。会社を起こしたことがない人間が、スタートアップの指導をするのにはそもそも無理がある。コロプラの立ち上げに参画し、活発なベンチャー投資を行う千葉功太郎さんは、500 KOBEプログラムのあるセッションで「CEOの気持ちはCEOの経験者にしか判らない」と熱く語っていた。

短期間で成果を出すために

また、アクセラレータプログラムでは2か月程度の期間、起業家チームを会場に缶詰にする運営体制を組む必要がある。短期間で成果を出すにはかなりのリソースを投入しなければならないのだ。しかし、国内でこの準備をするのはなかなか難しい。
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文=多名部 重則

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