アマゾンの従業員数は過去2年で2倍以上の増加となっている。同社は今年の6月末から9月末にかけて16万人を新規雇用したが、統計サイトStatistaが発表したレポートによると、パートタイムも含めた総雇用者数は54万1900名に達している。売上の増加分を全て投資に回すというジェフ・ベゾスの経営スタイルを熟知した投資家らにとって、これは驚くには値しない話だが、果たしてこの勢いがいつまで持続可能なのかという疑問も浮かぶ。
アマゾンの売上は前年同期比34%増だが、利益の面では前年をわずか400万ドル程度しか上回っていないのだ。
売上増の一因には、同社が今年8月に買収したホールフーズの売上13億ドルが、今期決算に反映されたこともあげられる。しかし、ホールフーズの買収により、アマゾンの社員数は今やアイスランドの人口を超える規模にまで膨らんでいる。
さらに、海外でも積極的な投資を行うアマゾンの米国外での損失は、昨年の5億4100万ドルから、今年は9億3600万ドル(約1060億円)にまで増加した。また、次世代のEコマースをリードする、Echoなどのスマートスピーカー開発にも、同社は莫大な資金を注いでいる。
それでも投資家らはアマゾンの未来に対して強気な姿勢を崩さない。投資銀行ジェフリーズのアナリストは「アマゾンは消費者のEコマース指向の流れに乗って、今後も勢力を拡大する。アマゾンが米国の小売市場に占めるシェアは現在の約10%から、30%にまで膨らむことになる」と述べる。
「洗練されたショッピング体験を消費者に与えるための、イノベーションを推し進めることがアマゾンの今後の成長を確実にしていく」というのが投資家らの見立てだ。アマゾンは先日、配達員がユーザーの自宅に立ち入って商品を配送する「Amazon Key」の立ち上げを宣言したが、この大胆すぎるように思える試みもアマゾンのイノベーションの典型例と言える。
当面の間、投資家らは同社の野心的な姿勢が売上を押上げ、今後も成長が続いていくと楽観視している。