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エストニアのデジタル政府とスタートアップ最前線


こうした取り組みは、デジタル社会のロールモデルとして世界各国から注目を浴びている。人口130万人ほどのこの小さな国家に、年間で1000を超える政府や専門家の視察団が訪れているのだ。

2017年には、EUの行政執行機関である欧州委員会が公表している経済や社会の電子化指標インデックス「EU Digital Economy & Society Index」における「Digital Public Service(デジタル公共サービス)」部門で1位になっている。

世界で初めて「国境のない国」になる

エストニアの取り組みは、国内の手続きに止まらない。同国は、2014年には「e-Residency」という制度を開始した。国民IDカードを、居住権を持たない外国人にもIDカードを発行して、エストニアの公的プラットフォームを利用できるようにするサービスである。このサービスを利用すれば日本人が日本にいながらにしてエストニアにオンラインで会社の登記が可能になる。まさに「Government as a Service」である。

すでに143もの国から2万4804人がバーチャル住民として登録し、3995の法人が設立されている(2017年10月時点)。e-Residencyの申請数がエストニア国内の人口出生数を上回っており、同政府は2025年までにこのバーチャル住民を1000万人に増やす計画だ。


 e-Residency用のIDカードとUSBカードリーダ

さらには、今年の8月に世界初の政府主導ICO(Initial Coin Offering、自らのトークンやコインを発行して資金調達を行うこと)として、このバーチャル住民に向けて「Estcoin」を発行する構想を発表した。しかし、この構想に対して、欧州中央銀行のドラギ総裁が否定的な発言をしていたように、エストニアはあくまでEUの一国であるため、EUの制約に縛られるのが現状だ。

ICOはあくまで構想の段階ではあるが、エストニアの現大統領であるカルスティ・カリユライド氏は、タルトゥ大学でMBAを取得しており、銀行の投資部門の出身でもあるため今後の動向には目が離せない。

エストニアはなぜこのような最先端な体制を短期間に構築することが出来たのだろうか。それにはエストニアという国の歴史的背景が大きく影響している。次回は、具体的なエストニアの電子政府の事例について紹介する。

文=別府 多久哉

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