マーケターの生産性を高めるマネジメント術、5つのポイント

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IBMの調査レポートによれば、世界のデータの約90%はなんと、過去2年で作られたそうだ。また、ヒラリー・クリントンの元参謀で未来学者のアレック・ロス氏は、デジタルデータは毎年50%ずつ増えていると指摘する。しかし、経営者やマーケターがどれほど努力しようが、データの量に追いつくように毎年50%ずつ賢くなるのは不可能だ。

企業におけるデジタルマーケティングへの取り組みは、今や当然となった。マーケティング部門に対する期待値も高まる中、デジタル時代にそぐわない時代遅れのマネジメント方法を続けていると、部門の生産性を下げてしまうリスクがあることにお気づきだろうか。

マーケターの生産性を落としているマネジメントの例をあげてみよう。

あらゆることが予測可能な時代においては、例えば、「(デジタルマーケティング担当者に対し)投資と施策の適切性をレビューしたいので、実行したデジタル施策とその結果を毎月報告してくれ」と指示をする。これが正しいマネジメントの方法だった。

しかし、デジタルの時代となった今は、ビジネスを取り巻く環境は複雑かつ予測不可能で、スピードが早い。冒頭で述べたように、テクノロジーの進化とデータの量の増加は猛スピードで進んでいる。つまり、スピードでもテクノロジーの理解でも、経営者やマネージャーが全てを判断するというスタイルはすでに限界にきている。

四半期、月次のような長いスパンで報告がなされ、判断がマネージャーに委ねられるというような旧来のやり方では、以下のような弊害が起きる可能性がある。

・前月末で締めた結果をレビューする翌月中旬頃には状況が変わっていて、レビューする意味が薄れる。
・レビュー用のレポート作成には想像を超える人員と手間、コストが割かれており、肝心の施策を行うための時間を圧迫している。
・手作業によるレポートは、手間のわりに正確性、一貫性、客観性、信頼性を担保するのが極めて難しく、誤った判断につながる可能性がある。
・デジタルの個別最適は、必ずしも全体最適につながるとはかぎらない。過度な個別最適の追求は、時としてマーケティング部門内の縦割りを助長し、サイロを生む。
・上記の理由から、人材のモチベーションやパフォーマンスは下がり、優秀な人材が離反するリスクが高まる。

では、経営層が常にビジネスの健康状態や全体像を把握しつつも、現場へのエンパワーメントを通じて組織のスピードと適応力を上げるためにはどうすればいいか。カギは、マネジメント方法を以下5つのポイントにおいて変えることである。



米陸軍の司令官であったスタンリー・マクリスタル氏は、イラク・アフガニスタンでテロ組織と戦った際、当初大きく苦戦した。そこで、組織のあらゆる階層のスタッフが自律的に判断を下し、共通の目標のもと連携して動けるよう、マネジメント方法を根本から見直したという。つまり、デジタルの時代に即した組織へと変革を行った結果、1か月間に可能だった急襲作戦の実行回数が18回から300回へ、実に作戦遂行スピードが17倍もアップしたという。

デジタルの力を活用するには、デジタルマーケティングに取り組めと指示する前に、まずマネジメントのあり方から変わらなければならない。

あなたの組織のあり方は、デジタルの時代にふさわしいだろうか。経営者とマーケティング責任者がみずから変化を先導しなければ、有能なマーケターは離反し、あなたの会社のマーケティング部門は時代から取り残されてしまうかもしれない。

文=斉藤 梨沙

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