真実を語るよりも沈黙を守る方が楽だ、という理由で真実を避ける指導者は、歴史を否定している。歴史上には、たとえ大きな犠牲を払っても自らの強い信念に従って行動した素晴らしい人物が多く存在する。
フレークは演説の最後に、エーブラハム・リンカーンの最初の大統領就任演説を引用した。リンカーンは、当時すでに合衆国から離脱の準備を進めていた南部州に対し、鋭く期待を込めて語りかけた。
「私たちは敵ではなく、友人だ。敵同士になってはならない。情熱は損なわれたかもしれないが、それによって親愛の絆が断たれてはならない。記憶の神秘的な琴線は、私たちの中の良心の天使によって触れられれば強まるだろう。必ずそうなると確信している」
つまり、一時の感情で絆を壊してしまえば、私たちは道を失うということだ。リーダーとは、リンカーンのように絆を強調して団結を促すものだ。
フレーク議員の演説が大きな変化を起こすという幻想を抱いている人はほとんどいない。サラ・ハッカビー・サンダース大統領報道官は、フレークの決断を一蹴し、再選の望みは薄かったため出馬を断念したことはアリゾナ州にとって良いことだと語った。世論調査によると、フレーク議員は他候補に比べ支持が伸び悩んでいる。
政治上のいざこざはさておき、フレークの演説は全ての高校生が読むべきだろう。現職の大統領を批判したからではなく、米国市民としての責務を再確認する演説だったからだ。
政治家には、政治家としての責務を果たさなければならない時がある。フレークは演説で、自身が正しいと思うことを実行するのをためらわなかった。自分の価値観に沿わない大統領や政党のために信念を捨てるのではなく、価値観を守って生きた方が良い。
フレーク議員の引退は、上院にとって、そして米国にとっての損失となる。