トランプに辞表を突き付けた共和党議員 J・フレークの名演説

ジェフ・フレーク(Win McNamee / gettyimages)

米政治評論家でテレビ司会者のクリス・マシューズは、政治家が本当に持つ信条が分かるのは敗北演説だ、とよく口にする。これは、再選を目指さない意向を表明した候補者にも当てはまるかもしれない。

米アリゾナ州選出のジェフ・フレーク議員は今週、上院議会での演説で、2期目を断念することを発表。トランプ大統領への軽蔑心と、フレークが重視する価値観を守るため立ち上がろうとしない自党・共和党への失望をあらわにした。

フレークの引退演説で注目すべき点は、人々の党派心が極端に強い現代においてリーダーを務めるとはどういうものか、という問題の核心を突いていることだ。そのため、いくつかの重要ポイントに分けて分析する価値がある。

権力者に真実を語ること

「私たちはあまりに長い間、統治への転回、安定と礼儀への回帰はすぐ訪れるのだと、自分たちをごまかし続けてきた。しかし、本当はそうでないことを知っている」とフレークは語った。逆境でこそ自分の信念を守り、自らの主義に忠実になることができなければ、有能な指導者とは言えない。

価値観を体現すること

フレークは、支持者層が離れるかもしれないからという理由で沈黙すれば「自分たちの信念を踏みにじり、義務を放置することになる」と続け、「個人攻撃や、信念・自由・公共機関に対する脅迫」は決して受け入れてはいけないと訴えた。

米国は価値観の国だ。目的意識を掲げて支持者を集めようとする指導者は、価値観は目先の利益よりも重要だと知っている。価値観を見失えば、後に残るのは崩壊の道のみだ。

立ち向かうこと

フレークは「真実をうそだと言い、うそを真実だと言う」ことはできないと主張。「私には、説明しなければいけない子どもと孫がいる。そこで大統領に申し上げたい。私はこれに加担も、沈黙もしない」と語った。

フレークは、今ある難しい課題に立ち向かうには、自身が身を引くべきだと考えた。その課題とは、自分が信用しない人物を強く批判することだ。
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編集=遠藤宗生

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