リフト幹部が語る自動運転の「AI実用化」 4つの課題

Photo by Kelly Sullivan / Getty Images

配車サービスのリフト(Lyft)で機械学習部門を率いるGil Arditiは10月24日のカンファレンス「VB Summit 2017」に登壇し、ステージ上で他のメンバーらとAIの実用化と競争の優位性の構築についてディスカッションを行った。

リフトは先日、グーグルなどから新たに10億ドル(約1136億円)を調達したことを発表した。リフトでは、AIの実用化を図る上で4つのステップを設けているという。

最初のステップは、データの取得と整理だ。データは、量が多ければ良いというものではない。

「まず大事なのは、データを正規化して利用しやすくすることだ」とArditiは話す。データの質が悪いと、最適な結論を導き出せずに競争優位性を失いかねない。「ニューラルネットワークは、データに含まれるノイズの影響を特に受けやすい」と他のメンバーも話した。

2つ目のステップは、プロトタイピングだ。エンジニアとプロダクトマネジャーは、整理されたデータと機械学習フレームワーク、ニューラルネットワークを用いて、サンドボックス環境でテストを行い、機械学習モデルの構築を行う。

3つ目のステップは、機械学習モデルのトレーニングだ。予測精度を高めるために、膨大なデータを使ったトレーニングを行う。

「例えば、全米の車両の走行データを使ってトレーニングを行うが、データ量が膨大なため高い処理能力が必要になる」とArditiは話す。

4つ目のステップは、機械学習モデルの実装だが、そこにおいても様々な課題がある。今回のディスカッションでは、元ウーバー社員のChris MessinaがArditiに話を聞く場面もあった。Messinaは、ウーバーで需要が急増すると料金が上昇する「サージ・プライシング(Surge Pricing)」を考案した人物だ。

理論的には、サージ・プライシングを導入することで需要と供給を調整することができるが、ドライバーが集団でアプリからログアウトし、車両の供給量を減らして意図的に料金を吊り上げたことが発覚して問題視されている。これは、人間がAIをだました例だと言える。

「改善の余地は常にあるが、改善策が機械学習モデルに及ぼす影響を考慮する必要がある。決まった手法は存在しない」とArditiは話した。

編集=上田裕資

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