何に期待し、何を懸念する? 世界「1300人のCEO」意識調査

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──いま懸念されるリスクは?

注目すべきは、昨年と比較すると「オペレーショナルリスク」および「レピュテーション/ブランドリスク」を懸念事項として挙げるCEOの割合が、世界全体で高くなったことだ。境界を超えてビジネスが拡大し、提携先や関連会社への依存度が高まるなか、業務の全容把握の困難さがリスクとなる、と考えるCEOが増加傾向にあると思われる。

と同時に、ブランド戦略の重要性の高まりに呼応して、ブランドの確立・維持により注力していこうとする意志が読み取れる。



そのほか、日本でも世界全体でも、「最新テクノロジーリスク」が前年度から大きく上がっている。同時に行った質問「今後3年間で、技術イノベーションにより自社の業界に大きな破壊が起こると予想される」に「YES」と回答した割合は、日本87%、世界全体48%。進化し続けるテクノロジーによる業界のボラティリティは、日本のCEOのほうが強く認識している結果となった。

──投資を増加する分野は?

日本のCEOが今後3年間で投資を増加する予定の分野のトップは「規制対応」。次いで「IT基盤」「物理基盤」「サイバーセキュリティ」で高い。前述の「戦略的優先事項」で挙げられた「破壊的テクノロジーの導入」「投資家報告の妥当性の向上」、また、上記の「懸念リスク」で挙げられた「レピュテーション/ブランドリスク」や「サイバーセキュリティリスク」と対応している。


同時に行った「サイバーセキュリティに対して万全な準備ができているか」との問いに、「YES」と回答したCEOの割合は、世界全体/日本ともに、昨年度の20%台から40%台に上昇。多くの企業が対策を進めたと推測される。

──今後3年間で自社はどう変わるか?

今後3年間で「自社が大きく異なる事業体に変革する」と考えているCEOは、世界全体で3割、日本で4割と一定数存在する。昨年と比べると、世界全体では41%から26%へ15ポイントの減少、日本のCEOは48%から42%へ6ポイントの減少と、どちらも去年から減少傾向にはあるものの、自社が大きく変革すると考える意識に、世界全体と日本で若干の違いがある。

変革の要因の最上位は世界全体/日本ともに「新しいテクノロジーの採用」。テクノロジーの進化が自社のあり方に変化をもたらすと考えているCEOが最も多いことが読み取れる。日本においてはその傾向がさらに強い。

文=フォーブス ジャパン編集部 データ=KPMG「グローバルCEO調査2017」

この記事は 「Forbes JAPAN No.40 2017年11月号(2017/09/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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