──世界や自国、自社の成長見通しは?
今後3年間の「世界経済」および「自社の業界」の成長見通しについて、世界のCEOは昨年よりは控えめで、6割強のCEOが自信をもっていると回答した(昨年は8割以上)。
対して日本のCEOは、「世界経済」「自社の業界」に対しての自信が、昨年よりそれぞれ72ポイント、51ポイントも減少。昨年から今年にかけての政治リスク/地政学リスクをネガティブにとらえた日本のCEOは、世界に比べて圧倒的に多い。ただし、日本において、「自社」に対して自信があるCEOの割合は、昨年同様9割弱と大半を占める。不確実な状況下でも、自社の事業戦略には確固たる自信をもっている状況が見てとれる。
──戦略的な優先事項は?
世界全体、日本のいずれのCEOも「市場進出スピードの向上」を最上位に挙げた。ビジネス環境の変化が加速し続けるなか、事業機会を失わないようスピード感をもった組織構築に注力する姿勢がうかがえる。
日本においては「投資家報告の妥当性の向上」が3番目に挙げられた。これは、一連の企業不祥事を契機として、企業統治や経営の透明性、取締役会運営の実効性などのガバナンス強化に対して問題意識が高まり、投資家に対する情報開示や対話のあり方に対して、日本のCEOたちが高い関心を寄せているからと推測される。
──市場成長に期待する地域は?
日本市場が飽和状態になりつつあり、国内経済の飛躍的成長が望めないなか、新興国などに活路を見出す日本企業も多い。「日本のCEOが今後3年間に市場成長を期待する地域」2017年のトップ3は、中南米(62%)、中央アジア(42%)、アジア太平洋(40%)。
2016年は2位(33%)に挙げられた米国が、13位(9%)と大きく順位を下げた。これはトランプ政権に関する不透明性が影響していると考えられる。また昨年4位(31%)に挙げられていたインドも、今回は8位(16%)と下げている。対して、昨年8位(28%)の中南米が、今年は62%と圧倒的な注目度を集め、トップに躍り出た。