中国人観光客、大型連休中に世界1155都市へ旅行

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中国の建国記念日である国慶節(10月1日)から始まった8日間の「黄金周(ゴールデンウィーク)」中、同国ではのべ7億500万人が旅行に出かけた。中国国家観光局(CNTA)によれば、この間に外国に旅行した人は600万人を超え、昨年を上回る数となった。

今年の連休中の旅行の特徴として挙げられるのは、現地でしかできない「体験」を重視する人や、希望に応じてパーソナライズすることが可能な旅行を希望する人が増えたことだ。中国の旅行予約サイトCtrip(シートリップ)のデータによると、従来型のパッケージツアーを選んだ人は旅行者の45%。カスタマイズできるプランを選んだ人は44%、「テーラーメイド」で旅を計画した人が11%だった。

行き先としても、これまであまり訪れる人がいなかった場所を選ぶ中国人が増えたという。CNTAは、中欧や東欧、ロシアに行く人の増加が目立った点を指摘している。さらに、シートリップによれば、モロッコ、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)、チェコ共和国、クロアチア、フィンランド、オーストリア、ドイツ、ベトナム、カンボジア、イタリアの各国は、渡航の予約件数が前年比で50%以上増加した。

連休中に中国人が訪れたのは、世界88か国の合計1155都市に上ったという。最も多くの中国人が訪れたのは、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシアなどだった。民泊仲介最大手の米エアビーアンドビーによると、中国人利用客によるこの期間中の外国での宿泊予約件数は、前年比32%増加した。

また、アリババの金融部門アント フィナンシャル(Ant Financial、螞蟻金融)」によれば、同社の決済サービス、アリペイを通じた中国国外での支払い件数は連休中、前年と比べ8倍に増加した。中国のネット大手テンセント(騰訊)が運営するウィーチャット(微信)のモバイル決済システム、「ウィーチャットペイ(微信支付)のデータからは、中国人が旅行先で最も多く買い物をしているのは依然として、各国の免税店(全体の52%)であることが分かった。

国内の観光業も活況

中国最大の民泊仲介サイト、トゥージア(途家)によれば、同社に登録する国内の朝食付きの宿泊施設(B&B)は、前年と比べ数倍に増加している。連休中の一泊当たりの宿泊料金は、平均557元(約9550円)だったという。また、エアビーを通じての国内での予約件数は、前年比126%となった。

国内での小売・飲食業の売上高は過去の同じ期間と比べ、記録的に増加。CNTAによると、1兆5000億元(約25兆7200億円)となった。中国商務省によれば、一日当たりの平均消費額では、前年比10.3%の伸びとなっている。8日間の連休中の国内の観光収入は、およそ5840億元に上った。

編集=木内涼子

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