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Chayathorn Lertpanyaroj / shutterstock.com

北京のPR会社でディレクターとして働くツイ・シューシンは29歳。20歳で結婚した母とは違い、つき合っている恋人とはすぐに結婚するつもりはない。

「キャリアを優先したい。家庭を築く前に、生活基盤を確立したい」と語った。

ツイと同様の考えを持つ女性は少なくない。習近平が中国のリーダーになって5年、中国は力をつけるとともに、大きな変化に直面している。離婚が急増する一方で、婚姻率は低下。先進国でも広がっているこの傾向は、中国では一層顕在化している。

非婚化は30年に及んだ一人っ子政策も一因だが、より大きな原因は、中国人女性の価値観の変化だろう。国の急成長はより多くの機会を生み、女性はもはや結婚を安全策と考えなくなった。10年前、27歳を超えた独身女性は売れ残りを意味する“剰女”と呼ばれていたが、今の彼女たちは、教育やキャリアのために結婚を後回しにすることをためらわなくなった。

天津・南開大学で人口学を担当する教授のユエン・シンは「中国社会は多様な生き方に確実に寛容になっている。結婚しない女性は増えるだろうが、それはパートナーを持たないことを意味するわけではない」と述べた。

中国政府によると、昨年結婚した人は前年比6.7%減の1140万人で、2013年から3年連続で減少した。その一方で離婚件数は2012年から増加を続けている。

男性の結婚も難しくなっている。中国では結婚前に男性が家と車を買わなければならないという伝統的な考え方があるが、住宅価格の高騰を考えると、それは簡単なことではない。経済基盤の確立されていない男性は結婚に踏み切れず、「剰男」の問題も顕在化している。

北京のグローバル法律事務所で働く27歳女性のアレン・ヤンは「私より稼いでいる人としか結婚したくない。夫が私の人生の足手まといになるのはごめんだ。自分に合ったパートナーが見つからなければシングルのままで構わない」と話す。

南開大学のユエン氏は、経済的側面でみれば、婚姻率の低下は消費を不安定にすると指摘する。シングルは既婚者に比べ、家電や家、家族関連のサービスにお金を使わない。企業は冷蔵庫や炊飯器、住宅においてより安価でサイズの小さい商品の投入が必要になるだろう。

中国政府は伝統的な家族の価値を強化しようとしている。北京青年報の報道によると、上海、広州、四川の地方裁判所は家庭の安定を重視し、離婚に踏み切ろうとするカップルに3~6か月の冷却期間を求めることがあるという。

しかし女性の価値観が変わる中で、婚姻率の低下は今後も進みそうだ。中国社会科学院助教授のユー・ジアは、「中国は日本や韓国のように、少子化が進むだろう。出生率は一度下がれば、上げることはかなり難しい」と語った。

編集=上田裕資

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