スピルバーグの創造性を開花させた、上司のある「約束」

映画界の巨匠スティーブン・スピルバーグ監督(Photo by Paul Bruinooge/Patrick McMullan via Getty Images)


リスクを恐れない文化は上層部から始まる。米マイクロソフトでは、新技術を使用した人工知能「Tay(テイ)」が大失敗に終わった後、サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は同商品を開発したチームに、類まれなメールを送っている。そこには「これからも努力を続けてください。そして私が支援していることを忘れないでください。大切なのは学習と改善を続けること」と書かれていた。

ナデラCEOは米紙USAトゥデーの取材に対し、次のように述べた。「リーダーは、従業員を怖がらせるのではなく、本当の問題を解決するための上空支援のようなものを与えることが重要だ。恐怖心に動かされると、イノベーションを起こすことは困難、あるいは不可能になる」

ナデラは先日出版された著書『Hit Refresh(リフレッシュを押す)』の中で、マイクロソフトの企業文化を「知ったかぶり」から「学びたがり」の精神へと変革する取り組みについてオープンに語っている。「わが社の企業文化は凝り固まったものになった。全従業員が、誰に対しても『自分は全てを熟知し、この場で最も賢い』と証明しなければならなくなっていた」と話した。

あなたがリーダーだとしたら、自分の部下たちは、リスク承知で行動して失敗しても、あなたから「上空支援」が与えられる、という自信を持っているだろうか? ナデラによると、リーダーは「成長の精神」を育てるため、従業員がリスクを取って行動し、失敗したときは迅速に対応し、完成までの過程で失敗は避けられないことを認めるよう奨励する必要がある。

スピルバーグにとって、失敗は成功の糧となった。『ジョーズ』『未知との遭遇』『E.T.』が多額の予算超過を出した後、ジョージ・ルーカスと共同制作した『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』に関わりたいと考える映画会社はなかったが、スピルバーグはこれを期限内・予算内で製作することを保証。失敗から学んだ彼は、自信を持ってこれを約束できた。

編集=遠藤宗生

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