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2017.10.22

アマゾン第2本社誘致がもたらす変化 地元住民は家賃負担増へ

Photo by GettyImages

アマゾンが9月、北米に第2本社(HQ2)を新たに建設すると発表したことを受け、各自治体は誘致を実現しようとさまざまな案を検討。大規模なスポーツイベントの場合にしか起こらないような誘致合戦を繰り広げてきた。

応募の締め切りを迎えた10月19日の時点で各地の地元紙を確認したところ、米国内の大都市はほぼ全てが、誘致に名乗りを上げているようだ。中には大規模な優遇税制措置を提示しているものもある。

アマゾンHQ2が自治体にとってどれほど魅力的なものであるかは、言うまでもない。同社は新たな本拠地で向こう10~15年間におよそ5万人をフルタイムで雇用するとしている。さらに、これら従業員の年収は、平均10万ドル(約1130万円)になるとされている。

また、アマゾンは約74万3200平方メートルの敷地に建設する施設に50億ドル以上を投資する計画だ。同社によれば、本社があるシアトルでは1ドルを投資するごとに、同市に1.40ドルの経済効果がもたらされてきたという。

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シアトルのアマゾン本社(SeaRick1 / Shutterstock.com)

ただし、アマゾンの拠点があることが、その都市に笑顔ばかりをもたらすわけではない。シアトルの住宅価格はここ10か月間にわたって上昇を続けており、賃料の上昇ペースも国内で最も速い水準となっている。こうした状況について、多くはその原因をアマゾンとそのエコシステムにあると指摘している。

HQ2がもたらす変化

米国の賃貸物件検索サイト、アパートメント・リストはこのほど、誘致に成功した都市の賃貸物件の賃料がどのように変化するかを推計し、その結果を公表した。国勢調査や労働省労働統計局のデータを分析し、新築物件の建設に関する動向や需給の緩み、高所得の住民が増加する影響などを割り出した。

アパートメント・リストは結果について、「賃料は全米各地ですでに急速に上昇している。賃借人のおよそ半分は、家賃を負担に感じている」と指摘。そうした中で、「企業一社が賃貸住宅市場、特に供給量に制約がある都市部の市場においてこれほどの影響を及ぼし得るという事実は、驚くべきものだ」と述べている。
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編集=木内涼子

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