中国とインドはすでに、競争力に関する2つの重要な指標において日本を超えている。これは、世界経済フォーラム(WEF)が先ごろ発表した「2017~2018年 国際競争力ランキング」が明らかにしたことの一つだ。
「人材を獲得する力」では、日本が73位だった一方、インドはそれを大幅に上回る19位、中国が23位だった。また、「人材を確保する力」では、日本─44位、インド─24位、中国─34位となっている。
前年の調査では、「獲得する力」が日本─77位、インド─22位、中国─23位、「確保する力」が日本─38位、インド─33位、中国─32位となっており。日本は2年連続で、これらのランキングで両国の順位を下回った。さらに、ここ2年間の株式市場の動向を見ても、中国とインドは日本をアウトパフォームしている。
中国とインドがなぜ日本に比べより多くの人材を引きつけ、維持することができるのかについては、2つの点が挙げられる。一つは、人材の流動性の高さだ。人材は成長と機会がある場所に向かって移動する。過去数十年、日本経済が伸び悩む中で、中国とインドは急速な成長を遂げてきた。
もう一つは、中国とインドそれぞれの状況にある。中国は近年、国内の大学のレベル向上を図るため、外国人の優秀な人材の獲得に多額の投資をしてきた。これにより、世界ランキングにおける中国の大学の順位は上昇している。また、中国にはアリババやテンセント、レノボなど、国際市場でのプレゼンスを拡大させている企業がある。
一方、インドはアマゾンやIBMのような外国の大手企業を自国に呼び込んできた。各社はインド国内に研究開発施設を整備。事業を国際化する中で、ソフトウェアエンジニアやプログラマーなど、同国の豊富な人材を活用してきた。
日本の状況は─
日本政府の呼びかけの一方で、同国企業は外国人の人材を呼び込み、活用することができずにいる。それは、外国人たちが仕事に求める「キャリア」を提供する準備ができていないためだ。才能のある個人がキャリアを伸ばし、向上させることを可能にする社会経済的な状況と、文化的な思考が欠けているのだ。
こうしたことが、人材の獲得において競い合う各国の中で、日本が後れを取る理由にもなっている。少なくとも、この問題に関する筆者の過去の投稿に寄せられた複数のコメントでは、そのように指摘されている。