しかし、結果としての“金”にばかり目が行って、仮想通貨やその基盤となるブロックチェーンのどこが革新的なのか、これからどういう方向に進むのか、正しく分かっている人は思いのほか少ない。その基本と可能性についての議論は脇に置かれている感がある。
ブロックチェーンという技術は、インターネット黎明期にも例えられるほどのインパクトとも言われているが、混とんとしていて本質が見えにくいのが実情だ。
分散型台帳とも言われるブロックチェーンは、完全に分散したネットワークであり、ごく簡単に言えば二つの突出したメリットがある。
まずは、超・安全安心。サイバー攻撃で情報が盗まれたりシステムが書き換えられたりダウンしたというニュースをいつも目にするが、ブロックチェーンそのもの(周辺は各々次第)ではその可能性は限りなくゼロに近い。そして、超・効率的。中央も仲介もなく当事者が直接つながるので、劇的にコストや時間の効率が上がる。契約内容とも紐づけられ、取引も実行できる。
当事者が直接つながり、安全安心に取引ができるから、例えば現在数千円かかっている海外送金の手数料は2、3桁下がることになる。こうした優れた点を持ち新たなモデルを具現化するブロックチェーンは、ビットコインを皮切りに、様々な革新を起こしていくとみられる。
ブロックチェーンの世界で日本が浮上
「日本に進出したい。すぐ東京に行くので、人や会社を紹介して欲しい」。今年4月から海外ブロックチェーン企業から、こうした依頼をされることが増えた。
日本は世界で初めて仮想通貨法(情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案要綱)を2017年4月に施行した、つまり存在を正式に認めた国だ。日本政府がイノベーション促進に向けて舵を切ったのは特筆すべきことだ。
世界では、中国を筆頭に禁止や慎重な姿勢の国がほとんどだ。そこで、各国の仮想通貨やブロックチェーン関連の企業が、急に日本に目を向けているというわけだ。
冒頭の主婦の声のように日本市場の熱気は高まり、昨年のビットコイン取引は7割が中国とも言われているが、今や日本がNo.1とみられている。ビットコイン相場は過熱との声もあるが、仮想通貨が市民権を得て、それを支える世界のブロックチェーン企業と人材が日本とつながるのは大きな前進だ。
また、2017年9月にはGMOやDMMなど日本企業が相次いでマイニング事業への参入を表明した(仮想通貨はブロックチェーンにデータが維持されており、このデータの記録・更新作業のことをマイニングと呼ぶ)。これまでマイニングは中国企業がメインだったが、日本企業が増えれば発言力も増し、日本のモメンタムにはプラスだ。