セクハラを許さない環境作り 男性ができることは

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誰もが知っていたが、誰も何も言わなかった──これは、セクハラが表沙汰になる度に聞かれる言葉のように思える。

コメディアンのビル・コスビー、テレビプロデューサーのロジャー・エイルズ、そして映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインの3人によるセクハラ問題が注目を浴びたことを受け、女性に対する男性の性的嫌がらせや暴行に激しい怒りの声があがっているが、こうした問題をどう防げばいいのかという問いへの答えは非常に少ない。

人事部に問題を報告すれば、エイルズ率いるFOXニュースで起きたように事実は抹殺される。また、コスビーやワインスタインの問題のように、何十年にもわたり語り続けることもできるが、それも単なる「話」にしかならない。

「そうした意味で、ワインスタインは良い例でもあり悪い例でもある」。ミシガン大学のアナ・カークランド教授(女性学)は電子メール取材に対しこう語った。「ワインスタインは、権力のある男性は、周囲がそれを許せば何の罰も受けずにいられることを示している。彼は自分の助手に女性らを連れてこさせていることが、何年にもわたって広く知られていた」

元人事担当上級役員で、現在はコンサルティング会社を経営するアライナ・ラブは、筆者に宛てた電子メールで、ワインスタインの行動は特異なものではないと指摘する。

「セクハラ問題が浮上した際、組織内の他の男性が同僚の不適切な行為について直接知っていたり、少なくとも疑いを持ったりしていたことが明らかになったという事例は、これまでに何度も遭遇してきた」

ある事例では、「他の男性がセクハラ加害者を野放しにしており、不愉快極まりなかった」という。「私から見れば、沈黙は共犯と同じ」とラブは語る。

カークランドは「成功している組織では、より多くの不満が寄せられることが多いが、これは問題対処にオープンだということを示している」と語る。

「ハラスメントが起こりやすいのは、多くの序列がある男性中心的な企業文化、リーダー職に女性がほとんどいない環境、そして性差別と沈黙の文化の中。こういった組織が真っ先にすべきは、自分たちの文化に厳しい目を向けることだ」
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編集=遠藤宗生

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