時計にして時計にあらず? LVのコネクテッドウォッチ

「タンブールホライゾングラフィット」。直径42mmのスマートウォッチとしてはコンパクトな設計。OSはGoogleが開発するAndroidWear(2.0)で駆動し、iPhoneやAndroidスマートフォンとペアリングが可能。

持ち物にはその人の品格が出る。よい物には理由があるのだー。

ファッションディレクターの森岡 弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る連載。第6回は、ルイ・ヴィトンのスマートウォッチをピックアップ。


小暮昌弘(以下、小暮):森岡さん、今日ご紹介いただくのはフランスのルイ・ヴィトンですね。老舗だけに信頼感がありますので、ビジネスマンの方もバッグや革小物などを愛用されている方が多いですね。

森岡弘(以下、森岡):確かに老舗ですが、新しいことに果敢に挑戦するブランドでもありますよ。コラボレーションなども積極的に取り入れるブランドですね。

小暮:シュプリームとコラボした表参道のポップアップショップも、商品完売のために急遽、閉めることに。商品を求めてこれまでにない行列ができて、話題になりました。

森岡:老舗、しかもラグジュアリーなブランドのなかでは“遊び心”とか“面白がる”ことに積極的。それが時代を捉えること、時代の気分を先取りすることにつながっているのですね。

小暮:1854年創業の老舗ですが、交通手段の発達に着目し、それまでトランクは蓋が丸かったのですが、積み上げられる平らなトランクを開発、トラベルスタイルに変革をもたらし、当時の皇妃から注文を受けて世界的な名声を得た歴史があります。つまり進取の気概こそ、ブランドのDNAとも言えます。村上隆、コムデギャルソンとのコラボでも注目を浴びました。

森岡:ブランドのマークにイラストを描かせてみたり、素材をカットしたり。「遊んでいいよ」と言えるくらいの余裕が、逆に老舗らしいところとも言えますね。そんなルイ・ヴィトンが今度スマート・ウォッチを発表したんです。

小暮:「タンブールホライゾン」ですね。この「タンブール」は、2002年にルイ・ヴィトンが時計製造の扉を開いたときに、最初に発表したモデルで、16世紀につくられた初期の携帯時計(ドラムクロック)からインスパイアされたデザインと言われています。だからスポーティで、しかも優雅さと優美さを兼ね備えたモデルですね。それをベースに最新鋭の腕時計を製作したわけですね。

森岡:そういうことに切り込んでいくのもルイ・ヴィトンらしいところですね。ネットの世界というのはまだまだ発達していくと思われます。先に向かっての展開を読むことがまだまだ難しいところに、怖がらないでチャレンジするところもこのブランドらしさでしょうね。

小暮:スマートウォッチですから、ネットと連動したマルチな機能を持ちながらも、ルイ・ヴィトンらしく、トラベルに特化した機能もこのモデルには搭載されています。フライトの時刻、ターミナルやゲート情報などの飛行機移動の情報を通知してくれる「MyFlight」。「CityGuide」では、世界で最も来訪者が多い7都市の名所、見どころをタッチスクリーンで呼び出せます。GPS機能とつながり、自分の近くにあるホテルやレストラン、名所などを知ることもできるんですね。旅行ではこれは使えます。
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文=フォーブス ジャパン 編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.39 2017年10月号(2017/08/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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