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2017.10.16

中国人観光客狙うインドネシア 「経済特区」でリゾート地拡大

Cocos.Bounty / shutterstock.com

中国人の海外旅行者数は2015年に1億2000万人を突破した。最近の傾向として言えるのは“医療ツアー”の増加だ。旅行サイト「シートリップ(Ctrip)」は昨年、50万人の中国人が医療関係のサービスを受けるために、海外に向かったとのデータを公開した。この数字は5年連続で伸びている。

中国人に最も人気の旅行先はタイで、今年は既に900万人がタイに旅行した。しかし、Euromonitorのデータによると、伸び率ではインドネシアが最多で、今年に入ってからの旅行者数は30%の増加となった。インドネシアのバリ島は長年、オーストラリア人に最も愛される旅行先だったが、今年の中国人観光客の数は約15万人に達し、初めてオーストラリア人を上回った。

バリ島で東洋医学のヒーリングサロン「COMO Shambhala Estate」を経営するナンシー・キムは、13年前にアーユルヴェーダのサロンを立ち上げ、鍼治療や長寿効果をもたらすと言われる様々なセラピーを行うようになった。

シートリップのデータによると、医療ツアーに出かける中国人観光客の平均支出額は、一般的な旅行者の約10倍に達している。「顧客の多くは仕事で成功した人々で、働きすぎやストレスからの過食、体調不良を抱えている」とキムは述べた。

データによると、シートリップの旅先のアクティビティの上位10ランキングの4位に、医療関連サービスが入っている。韓国に向かう裕福な女性たちに特に人気なのが、健康診断やがん検診、遺伝子検査や美容整形だ。がん検診では日本の高額なサービスも人気となっている。医療ツーリズムは今では、プラセンタ注射によるシワ取りや細胞セラピーなど、様々な領域に広がっている。

キムのサロンには自然療法専門のドクターが常駐。脈拍や表情から患者の健康状態を把握し、栄養や食事のアドバイスを行うホリスティックケアのサービスも提供し、中国人旅行者の新たなニーズを掴もうとしている。

インドネシア政府は2019年までに、年間1千万人の中国人観光客の受け入れを目指し、観光に特化した経済特区を3つ増設。海外企業の投資を呼びかけ、ホテルやリゾート地建設を促進している。

インドネシアの観光省と厚生省は、同国を医療ツーリズムのメッカとして中国人にアピールする動きも進めている。ジョコ・ウィドド大統領の指揮の下、政府は中国の25都市からの国際線フライトを増便させようとしている。

編集=上田裕資

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