50ドルで可能なFB上の「偽ニュース」拡散 広告関係者が実証

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フェイスブックを用いた偽のニュースの拡散は、驚くほど低コストで実現可能なことが分かった。

マーケティング企業「MobileMonkey」のラリー・キムCEOは先日、Mediumに投稿した記事で、「1時間で制作した偽のニュースサイトとそのサイトのフェイスブックページを、50ドル分のフェイスブック広告で宣伝したところ、数分のうちに4645名にリーチできたと」と発表した。

キムが制作したニュースサイトは、CNNのロゴを反転したマークをトップに掲げ、一目見てフェイクニュースサイトと分かる代物だった。しかし、フェイスブックはこれを検知せず、問題なく広告出稿が可能だったという。

「米国の選挙結果は驚くほど簡単に、しかも安価にハックできる。2016年の大統領選挙では、激戦区と呼ばれた多くの州でわずか数千票が勝敗を左右した(ミシガン州の場合、トランプとヒラリーの獲得票の差は1万1602票だった)。投票結果を操ろうと企む場合、ミシガンやペニンシュラ、ウィスコンシンなどの接戦が想定される州だけをターゲットにすればいい」とキムは言う。

フェイスブック広告は非常に優れたターゲティング機能を備えていることで知られている。キムはブログの記事で「政治に関心がある人物で、しかも保守的な意見に関心を持つユーザー」をターゲティング可能であることをあげている。この機能を政治家や選挙チームが利用すれば、非常に効率的に世論を操作できる。フェイスブック上の誤った意見は人々にシェアされることにより、バイラルで広まり、深刻な影響を及ぼすことになる。

「フェイスブック上のスポンサード広告は、友達がいいね!をすることにより雪だるま式に拡散する。身近な人がエンゲージした投稿はフィードの中で目立つように表示され、コメントやシェアが促進される。その事がさらに、記事の注目度を高める結果をもたらす。最初は広告の力で広まったフェイクニュースが、その後は自然に広まっていくのだ」とキムは指摘する。

キムは今回の50ドルのトライアルの結果、ペニンシュラやミシガン、ウィスコンシン州の約660万人の投票結果は、わずか1249ドル程度の広告予算で影響を与えることが可能だと述べている。

これが本当だとしたら、民主主義にとっての重大な危機としか言うしかない。

編集=上田裕資

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