増え続けるテロへのリスク、事前対策の3つのポイント

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欧州では10月1日にフランス・マルセイユのサンシャルル駅、9月15日イギリス・ロンドン地下鉄車内、8月18日スペイン・バルセロナのカタルーニャ広場と、毎月のようにテロによる悲しいニュースが続いています。

北米でも、テロとの関連は否定されていますが、10月1日ラスベガスで米国史最悪の銃乱射事件が発生。その直前の9月30日には、カナダ・エドモントンでイスラム国(IS)に感化された難民によるテロが起きました。

米国保険関連企業エーオンが発表した世界のリスク分布図「2017 Risk Maps: Aon’s guide to Political Risk, Terrorism & Political Violence」によると、2016年に全世界で発生したテロは、前年と比べ14%増となっています。特に西側諸国では、ISによるテロだけでなく、極右や過激派によるテロも増加しており、テロ件数は74%増。一般市民をターゲットとしたテロへ警鐘が鳴らされています。

このようにテロが増加する中、日本国外での事業を進める企業はどう対応していけばよいのでしょうか。アルジェリアやパキスタン、ロシア、トルコなど、カントリーリスクが高い国での事業開発経験から、対策のポイントを3つ紹介します。

1. 複数ソースによる情報収集

クラウドソーシングを使って世界のテロ事件を発生順に表示する「Terrorism Map」や公安調査庁の「世界のテロ等発生状況」など、テロに関する情報を集めているサイトがあるので、それらの情報は定期的にチェックしましょう。上述のエーオンがRisk Mapと共に出している解説も参考になります。

また、新聞やオンラインメディアは、日本のものだけでなく、欧米各国や現地メディアもチェックする方がベターです。BBC(英国)、CNN(米国)、アルジャジーラ(カタール)、Pars Today(イラン)、人民網(中国)などを見ると、トップニュースとして取り扱っているものは異なります。また、同じニュースでも取り扱われ方が異なります。そこに、その国やその新聞社の位置づけが表れるというわけです。

例えば、米ラスベガスの銃乱射事件についての10月4日の報道は、Pars Todayが、「銃規制に関しての決定を行うのは時期尚早」という趣旨の記事をトップ出している一方で、CNNでは容疑者が周到に犯行準備をしていたことをトップ扱いしています。米系のメディアはより詳しく中身を掲載しているのに対し、中東系は米国の政策についての話を出しているのです。

比較のためには複数メディアを見る必要があり、時間はかかるのですが、ざっと目を通すだけでも「あれ違うな?」と気づくことができます。気づくことで、情報発信者の意図が見えてくるため、情報収集の感度があがります。
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文=秋山 ゆかり

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