だが、近年はテクノロジーの進化によって昔に比べて格段にラクにキャンプを楽しむことができるようになった。最近では、軽量で折りたたみ可能なテーブルや椅子、高性能なコンロ、カンテラや携帯電話を充電できるソーラー式充電器など、便利なガジェットが多く開発されている。
テントに関しては、20年前から進化がないと思うかもしれないが、この分野でもイノベーションが起きている。売れ筋は昔から変わらずドームテントだが、我が家には小さすぎるため、居住スペースが広くて天井も高いポール式テントをこれまで使ってきた。子供連れにとっては、雨でも室内で楽しめるように居住スペースの広さは非常に重要なポイントだ。
3年前にVango社製のインフレータブルテント、「Air Beam」に切り替えたが、それまで抱えていた悩みの多くが一気に解消された。筆者は当初、このテントの性能に懐疑的で、従来型のテントに比べて華奢でないか心配だったが、実際に使ってみると優れたエンジニアリング技術が随所に盛り込まれており、不安は一掃された。
今年から「Vango Diablo 1200XL Air」という、Air Beamでは初のクロス・ビーム型の大型テントを使っている。Air Beamのテントはドームテントやポール式テントと重量がほとんど変わらないが、テントを収納するバッグにキャスターが付いているため、設営場所まで楽に移動することができる。
就寝スペースは3ヶ所
従来型のテントとの違いが明らかになるのは、収納バッグから取り出したときだ。設営場所にテントを敷いて角に釘を打ち、ビームに専用ポンプを取り付けて膨らみ始めたら作業は終了だ。同じ大きさのドームテントやポール式テントであれば、作業に慣れた大人2-3人がかりで設営しなければならないが、Air Beam は1人が15分もかければ十分で、雨の日でも全く問題なく設営することができる。
テントの中に入ると、ビームのあちこちに「SkyTrack」と呼ばれるフックが付いており、アクセサリーやランタンを掛けておくことができる。換気用の窓はこれまでより50%大きくなり、暑い日に開けておけば快適に過ごすことができる。
就寝スペースは3ヶ所で、それぞれダブルベッドサイズのマットレスが置ける広さだ。筆者の家族(子供は9歳、12歳、14歳)では、これだけのスペースがあれば十分だ。入り口部分は天幕のみで開放されているので、カバーのついたセクションを追加して全天候に対応できるようにしようと考えている。
AirBeamで唯一面倒なのは、片付けだ。ビームから空気が完全に抜けたことを確認せずに畳んでしまうと、バッグに収納できず、再び広げて空気を抜かなくてはならない。
総じて言えば、Vango Diablo 1200XL Airには非常に満足している。Air Beamテクノロジーによって内部は広く、簡単に設営ができ、強風にも十分耐えることができる。価格は約1200ポンド(約17万円)と決して安くないが、家族で広々としたキャンプを長年楽しむことができる逸品だ。