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都内の成人式会場。眩いばかりの緋色地に金刺繍が施されたチャイナドレスが目立つ。才色兼備の留学生、劉さんである。湖南省生まれだが英語と日本語を自在に使いこなし、在籍中の一流大学のゼミでは首席だ。「劉さんはどんな仕事に就きたいの?投資銀行、コンサルティング?」。私の質問に、彼女は戸惑うような気配で蠱惑的な視線を返しながら、「憧れは専業主婦なんです」。

 私の目には、劉さんが将来の企業トップ候補に映る。(中略)それだけに、彼女の専業主婦願望は意外だった。

 今、日本では女性の社会進出と就業の慫慂に国を挙げて取り組んでいる。少子高齢化で経済成長率が低徊するなか、女性の活用が不可避の選択肢であることは間違いない。女性の人口に占める割合は51%だが、就業者比率は42%と欧米諸国に比べて低い。それに過去30年間で3%しか増加していない。(中略)

 海外比較で特に気になるのが、女性の管理職比率だ。米国では管理職の43%が女性、欧州でも30%以上を占めているが、日本では11%に過ぎない。女性幹部候補生の絶対数が少ないのが現状なので拙速は禁物だが、裾野を拡大していくべきことに異論はないと思う。

 だがその場合には「家事の経済」を冷静に把握しておく必要がある。専業主婦が生み出す経済的価値の評価と出産・育児と就業の経済的関係の認識だ。

 家事労働はGDPに算入されない。だから経済成長のためには、単純にいえば家事に従事する比率を下げて外で働いたほうがいい。しかし現実の炊事、育児、掃除等々は時間と手間がかかる大作業である。内閣府が試算した「家事活動等の評価について」というデータが興味深い。家事労働をお金に換算すると年間で82兆~111兆円にも上るというのだ。GDPの2割に相当する大きさである。その過半を専業主婦が担っている。彼女たちにしてみれば巨額のタダ働きをさせられていることにならないだろうか。配偶者控除の是非論を議論するときにも参照すべき数字だろう。

 出産・育児と就業の関係は、最近ではポジティブにとらえる向きが多い。OECD諸国では、女性の労働参加率の高い国の方が出生率も高いといわれている。だが、より詳細な研究によると、労働参加率と出生率の負の相関程度は低下しているものの、両者の関係は依然ネガティブだそうだ。日本では、出産後も就業を続けたいと考える女性は4割にも満たず、30年前と変わらない。育児支援制度の普及が重要だとされる所以であるが、上記の推計によると育児労働の評価額は年間15兆円にも及ぶ。支援制度等がこの水準を代替するためには、どのような制度設計と国民負担を要するのかを冷静に検討していかなければならない。(以下略、)

川村雄介

 

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