「いいね!」されたい欲求から始まる、SNS時代の生きがい探し

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「あなたの生きがいはなんですか?」「あなたの仕事の中で、その“生きがい”が占める割合はどれくらいですか」と聞かれて、胸を張って「全てが生きがいです」といえる人はどれくらいいるでしょうか。

僕は本来、人は生まれた瞬間から“生きがい”を探していくべきだと思うのです。だから、自分が心から好きと思えて、それにまつわるものならずっと夢中でいられる、かつ周囲から「ありがとう」と言ってもらえるものは何か。もしまだ何も見つからないのであれば、一刻も早く、モチベーションの泉を探り当てるべきだと思います(その理由はぜひこれまでの等連載記事をご参照ください)。
 
「いいね!乞食」から始まる旅
 
SNS全盛の時代では、たとえオフィス内にアウトドア好きがいなくても、スマホひとつで登山仲間とつながり、休日に一緒に山登りを楽しむことができる。自分の興味や好きなことを発信し続けていれば、自ずとオンライン上で同質の仲間、さらには支持してくれる人と繋がれるようになりました。

つまり、これまで環境に固定されがちだった「価値観」が、インターネットを通して、どこかの誰かに受け入れられるようになった。目の前のデスクに座る同僚があなたを褒めてくれなくても、どこかで、誰かが「いいね!」をくれる。むしろ、フェイスブックにアップしたことに「いいね!」をもらうことのほうが、気持ちよく感じられる瞬間もある。

SNSで承認されることに熱心な人を「いいね乞食」と揶揄する風潮もあったり、これまで「BBQをしている写真を撮る」ものだったのが、「インスタ映えする写真を撮るためにBBQをする」、というような逆転現象も起きていますが、これらは“生きがい探し”の旅における寄り道なのだと思います。

なぜなら、ネットを通じてどこかの誰かが「いいね!」をくれるのなら、もう固定された環境に価値観を縛られなくてもよくなる。つまり、あなたにかけられていた呪縛を解き放つことができるのです。そういう意味では、「いいね!」に過剰になる時期があってもいいと、僕は思います。

自分だけの「いいね!」に巡り合う旅

肝心なのは、「いいね!」によって呪縛から解き放たれたあとです。そこからは、自分の生きがいを発信して「いいね!」と言ってくれる誰かを見つけていく、という冒険の旅を始めていって欲しいのです。
 
例えば、一昨年はインスタグラムにBBQやカラーランなどの様子をアップするのが流行りました。しかし、誰もが同じようなものをアップしているとなると、だんだんそこに「いいね!」の差を見出せなくなっていきます。
 
しかしこの頃は、SNSにアップされる内容やジャンルもより細分化されてきていている。つまり、初めはネットの中で「いいね!」がもらえれば十分で、とにかく「いいね!」をもらえそうなものを発信していたのが、だんだんと「自分だけのいいね!」が欲しくなってきた。

これがより進んでいくと、「誰とも被らない自分だけのいいね」がもらえるように、欲求が動いていくようになるだろうと思うのです。
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文=尾原和啓

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