多様性とインクルージョンが経営判断を向上 新調査で明らかに

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このところ、職場の多様性に関する課題がニュースになることが増えている。多様性の取り組みの多くは雇用に重点を置くが、たとえ多くの時間と資金を投資しても、何千人もの従業員を抱える企業の変革には何年もかかってしまう。

しかし、その変化を早める方法もある。全ての職務レベルで、経営判断を下す過程に多様な従業員を巻き込めば、会社がすでに持つ多様性を活用できる。「インクルーシブ(包摂的)な意思決定」というシンプルな考え方を活用すれば、変化が加速し、会社の業績にも直接的な効果が見込める。

私が最高経営責任者(CEO)を務める企業クローバーポップ(Cloverpop)では先日、インクルーシブな意思決定の効果について調査を実施。2年間にわたり、さまざまな企業の200のチームがクローバーポップの意思決定支援データベースを使用して下した約600件の経営判断を分析した結果、インクルーシブな意思決定と業績改善の間に次のような直接的関係があることが分かった。

・インクルーシブなチームが、それ以外のチームよりも良い経営判断を下す割合は最大87%

・インクルーシブな意思決定プロセスを踏むチームは、それ以外のチームの2倍の速度で意思決定が進み、ミーティング回数は半減する

・多様性のあるチームが意思決定して実行した場合、結果は60%改善する

米シンクタンク、センター・フォー・タレント・イノベーション(Center for Talent Innovation)の最高財務責任者(CFO)で研究担当ディレクターのローラ・シャービンは「より良い成果を生むには、多様性とインクルージョンを両方実践しなければならない。クローバーポップの調査では、雇用主側が多様でインクルーシブなチームを作れば最高の成果を出せることがさらに証明された」と述べる。

本調査では、個人よりもチームの意思決定が良い成果を生む確率が66%となり、チームの多様性が増すほど判断が向上することが示された。男性のみのチームが個人よりも良い経営判断を生んだ確率は58%、多様な性別を含むチームが個人よりも良い判断を下した確率は73%だった。また、性だけでなく、年齢層や勤務地域も多様なチームとなると、その確率は87%まで上昇した。
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編集=遠藤宗生

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