独立の可能性もまだかすかに残ってはいるものの、非常に長く険しい道のりになるだろう。今起きているのは「カテグジット」ではない。
まず、カタルーニャ州の公債負担は現在GDPの35%を超えている。州政府が抱える770億ユーロ(約10兆2000億円)の負債のうち、約600億ユーロ(約8兆円)は中央政府から借りている。独立すれば、金融危機後に国際市場で借り入れができなくなった地方の支援のため設立した国営の融資基金も利用できなくなる。
また、同州の海外輸出先として3分の2を占める欧州連合(EU)の市場への参加を維持するには、EU加盟を申請し、スペインを含むEU全加盟国から承認される必要がある。
ラホイ首相は高圧的で暴力的な手法を選んだが、その他の選択肢もあった。ジョナサンは次のように指摘する。「ラホイは住民投票を許可し、例えば2018年10月など、ある程度期間を置いた時期に日程を定め、最低投票率を設定して国際監視団を設置するよう主張できたはずだ」
ジョナサンはまた、ラホイはカタルーニャ語で演説して団結を呼びかけ、スペインの文化的伝統や多様性は同国を単なる州の集まり以上の強力なものにすると訴えることができたはずだとも語った。陳腐かもしれないが、軍隊配備に対するほどの非難を浴びることはなかっただろう。
カタルーニャ州の住民投票以降、国内では何千もの人が独立反対派のデモに参加した。バスク州などその他の自治州は目立った動きは見せていない。EUは議論に参加していないが、所属国から独立を目指す地域がEUに残留できるかどうかという問題は長期的に避けられないものだ。この問題は欧州の地図を再度塗り替えるものかもしれない。