ウルフはティンダーの同僚や上司、親会社のMatch.comをセクハラで訴えていた。
「出会い系アプリは競争が非常に激しい分野だ。しかし、現在の人々の暮らしを見ると、全ては人との関係から成り立っていることが分かる」とウルフは先日開催された、フォーブスの「アンダー30サミット」の場で話した。「率直に言って、このチャンスを逃す手はないと思った」
彼女が作った出会い系アプリ「Bumble(バンブル)」は急成長を遂げ、ティンダーの親会社のMatch Groupは4億5000万ドル(約490億円)で買収提案を行ったという。しかし、ウルフはこのオファーを断った。
Bumbleが他の出会い系アプリと違うのは、マッチングが発生したらまず女性のほうから最初のメッセージを送らねばならないというルールだ。時間内にメッセージを送らないとマッチングは消えてしまう。
「女性は受け身であるべきだという考えが世の中に広まっていて、出会い系アプリにおいてもそれが当り前になっていた。私たちはその考えを変えたいと思った」とウルフは聴衆たちに語りかけた。
Bumbleを立ち上げる以前は、ウルフは自分がフェミニスト活動に参加するとは夢にも思わなかったという。しかし、彼女は今の自分のポジションを気に入っている。
同社は先日、女性のためのNPO団体「Planned Parenthood」に寄付を行った。その後、ウルフの元にはヘイトメールが押し寄せたという。「男女が同じ権利を有するという主張を認めない人たちが今も数多くいて、それは非常に残念なことだ。私たちはヘイトに負けないというスタンスを明確にしていきたい」
ウルフはBumbleに単なる出会い系アプリを超える役割を持たせたいと願っている。2016年には「Bumble BFF」という新機能をデビューさせ、女性たちが異性ではなくビジネスの仲間や友人と知り合える手段を与えた。さらに、先日は「Bizz」という機能を追加し、リンクトインのようなビジネスネットワークの領域に進出した。
「そこにはデータの裏づけがあった」とウルフは言う。「アプリに掲載された膨大なプロフィールデータから、人々が異性との出会い以上のものを求めていることが分かった。それは“ネットワーク”だった。最高のイノベーションというのは、人々が求めているものを実現するところから始まる」
ウルフがかつてセクハラで告訴したティンダーCEOのショーン・ラッドは、謹慎処分を経て現在はティンダーの会長に就任している。
「人生に失敗はつきものだ。大事なのはそこからどうやって立ち直り、次に何をやるかだ」とウルフは言った。