「ということは、ここにいるのは馬鹿なんですか?」と部下が口をはさむ。
「そのとおりだ! 能力がある人間は日テレに行け!」と叫んだ。
その場がシーンとした。つまり、そこにいる人間のやる気を削いだのである。そこから士気が下がったのはいうまでもなく、数か月後、その番組は打ち切りになり、その暴言を吐いたプロデューサーは、閑職に飛ばされた。今は現場で見ることはない。ちなみに彼は、京大卒だ。なにかあるごとに、それを強調していた。
ボクは毎日、山のような会議に参加している。今日も7つも会議がある。
先日もある会議で、「お前、東大だと思って京大の俺を馬鹿にしているだろう!」と揉めごとが起きた。東大卒の部下が、京大卒の上司のいうことを理論的に否定したのだ。しかも「京大は議論好きだから」と言ったのだ。今回が初めてではない。小さな居座古座はこれまでに何回もある。その会議は空中分解したまま終わった。
決断をする立場の二人が対立をすると収拾がつかない。
上記の2つは、会議に「勝ち負け」を持ち込んだパターンである。しかも会議の現場で“学歴”が名指しで登場する。これはもう、両者とも会議を殺している犯人である。張本人だ。
以前、某携帯電話会社での会議で、メインの人間がこんなことを言った。
「会議には3種類のバカがいる。議題を考えたバカ。提案が面白くないバカ。提案したものを理解したりジャッジできたりしないバカの3種類だ」
そう言い放った彼は、毎回、25分で物事を決めていく。決まらない場合は「今回は野呂さん(筆者)の提案が面白くなかった」「今日は、ボクが理解できなかった」と明確だ。「予算が合わない」「ブランディング的にNG」とハッキリ言う。決まらないことはなかった。彼は毎回5案件以上にジャッジをしてゆく。ボク的に理想の“生きている会議”だ。
ボクは、「会議を制する者は、会社も制する」と思っている。逆に「会議を壊すトップは、会社も壊す」とも思っている。多くの場合、経営者や会議のトップが他の人をバカにしている場合だ。
そういう場合に多いのが「せっかくだから若者の意見も聞いてみよう」などと言い出し、とりあえず若手に意見を言わせて、「まだまだだな」と全面否定をする経営者だ。つまり、単純に自己満足なのである。会社を動かすための会議であって、若い人の意見交流会ではない。議論をするための場所であることを完全に忘れている。
駄目な会社では会議を殺す人間がいる。しかも上層部に多い。たいして関係のない自分の経験などを話し出し、結果的に時間が長くなったりしている。