「数字」に執着する男 トランプ大統領独占インタビュー

Photo by Shawn Thew-Pool / Getty Images

トランプが過去にホワイトハウスを「ごみ山」と呼んだという噂が本当だったとしても、それは既に昔の話だ。

トランプは今や、ホワイトハウス西棟の小さな書斎で、自身が取り付けさせたシャンデリアや、リンカーンとルーズベルトを描いた油絵について冗舌に語る。金を基調とした改装がなされた大統領執務室では、歴代大統領が使ってきた「レゾルートデスク」の端から端へと手を滑らせながら、「とても良い仕上がりだ」と語った。

彼の口調はまるで、トランプタワー最上階の高級物件や自身が所有するゴルフクラブの会員権を売り込んでいるかのようだ。大統領執務室でほぼ1時間にわたるフォーブスのインタビューに応じたトランプ大統領が見せたのは、同誌が35年にわたり見てきたのと同じ「市民トランプ」の姿だった。

まずは自画自賛。それも、歴代大統領に詳しい者なら誰もが否定できるような誇張をふんだんに盛り込みながら、こう語る。「9か月間で、どの歴代大統領よりも多くの法律を成立させた。これまでに法案を50以上通過させた。大統領令に限った話ではない。それも非常に大事だが。法案の話だ」

次はカウンターパンチ。今回の標的は、自身を「まぬけ」と呼んだと報じられたレックス・ティラーソン国務長官だ。「フェイクニュースだと思うが、もし彼がそう言ったのなら、IQテストを比べなければいけないだろう。どちらが勝つのかは分かっている」

そして何よりも、セールストークだ。「法案がもう一つある。経済開発法案だ。素晴らしい内容になるだろう。これについては、まだ誰も知らない。耳にするのは君らが初めてだ。企業をここにとどめるための経済開発インセンティブだ」。米国で雇用を維持する企業に報酬を与え、海外に事業を移転する企業を「厳しく罰する」という「アメとムチ」の法案なのだという。

完全な民間セクター出身者として初の大統領となり、1世紀以上にわたり自由放任主義と自由貿易を推進してきた共和党の代表を務める人物が、工場や事務所を設置する場所に基づいて企業に罰や報酬を与えるよう提案する──。この点について、トランプは気にならないのだろうか?

「全く気にならない」と彼は答える。「私がしたいのは、互恵だ。互恵はとても良いコンセプトだ。誰かによって50%の支払いを課されているのであれば、こちらも50%の支払いを課すべき。現状では、向こうが50%の支払いを課しているのに、こちらは何も請求していない。私はこんなことはできない」
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翻訳・編集=遠藤宗生

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