「我々は特別だ」というメッセージ
「ディスプレイの上部と下部に黒いバーを設置して、ラウンドしたコーナーやセンサーハウジング、ホームインジケータを隠してはならない。括弧やベゼル、アイコンなどのグラフィックやテキストでノッチを目立たせることをしてもならない」
アプリ開発者にとっては、ノッチがあることによってスクロールバーやテキストフロー、レイアウトなどに影響を及ぼすことが想定される。しかし、アップルがノッチを重要視していることを忘れてはならない。
アップルは、ウェブデザイナーに対してもiPhone X向けガイドラインをWebKit公式ブログ上で公開している。それによると、「セーフエリア」という新たな概念が導入され、フルスクリーンでありながら、一部のエリアは触れることができないようになっている。
アップルはノッチに関して自社の考えを開発者やデザイナーに押し付けているが、問題はアップルが設けた制約によってユーザー体験が乏しくなっていることだ。ユーザーは日々iPhone Xを使う中で何とか対応するだろうが、不満は決して解消されないだろう。
ノッチはユーザーにとって不満の原因かもしれないが、マーケティング的には素晴らしいネタだ。制約を強みに変えることは重要だが、その制約が自ら課したもので、ユーザー体験を改善する解決策に制約を設けるようであれば、それは企業の傲慢以外何物でもない。
アップルは、「我々は特別だ!」というメッセージを世間に向けて発信したいのかもしれないが、筆者にはアップルが消費者よりもマーケティングやブランディングを優先させているようにしか見えない。