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ICOで資金を調達するのは必ずしもスタートアップ企業とは限らない。会社を立ち上げずにプロジェクト単位で取り組む開発者の集まりであったりする。また会社にも、「Kin」というトークンを発行するメッセージアプリ「Kik」のように、クラウドセールで売るのは実際の会社の株式ではないと主張し、証券業の規制を都合よく回避する例もある。

この技術の後ろ盾となる人々は、世間知らずの理想主義者ではない。有名ベンチャー投資家のティム・ドレイパーは、これまでに2つの暗号資産を支援している。「ベーシック・アテンション・トークン」を発行したブレンダン・アイクは、プログラミング言語JavaScriptの生みの親で、ウェブ開発団体Mozillaの共同創設者だ。投資会社タイガー・マネジメント出身のダン・モアヘッドは、暗号資産を専門に扱うパンテラ・キャピタルを創業した。

彼らが目指すのは、元子役俳優でゲーム開発会社の創業者でもあるブロック・ピアース(36)が立ち上げたブロックチェーン・キャピタルのような会社だ。ピアースは独自の暗号通貨BCAPを公開することで自社ファンドの資金を調達し、ロックアップ(預託)を含む通常の規制から出資者を解放した。4月のICOでは6時間で1000万ドルも集めている。彼は当局の監査を回避するため、出資者を米国内の99人の投資家と、より規制の緩い海外の901人の投資家に限定した。しかし、ひとたび発行された通貨は誰もが買い入れることができた。実際、同ファンドの評価額は急上昇し、最近では1750万ドルをつけている。

「電話が鳴りっぱなしだった」と、ピアースは振り返る。「大勢の人に、自分の業界でも同じことができるかどうか、聞かれましたよ」

オラフ・カールソン=ウィー(27)は、ルター派の牧師の息子だ。コンピュータのプログラミングはほとんどできない。正式な金融分析のトレーニングを受けたこともなく、資金を運用した経験も皆無だった。彼を“2017年の暗号通貨バブルの申し子”として紹介するのは、まさにそのためだ。

カールソン=ウィーがサンフランシスコで立ち上げた「ポリチェーン・キャピタル」は、その資産額を10カ月足らずで400万ドルから2億ドルへと膨らませた。暗号資産に対する天賦の理解力に基づき、巧みな立ち回りを繰り返した結果である。

すべての始まりは、ヴァッサー大学に在学中の11年夏だった。カールソン=ウィーは、闇取引サイト「シルクロード」がビットコインに支えられていたことを知り、預金のほぼ全額をビットコインに投じたのだ。

カールソン=ウィーはビットコインをテーマに卒業論文を書き、社会学の学位を得て卒業。12年に暗号通貨の取引所「コインベース」に卒論を送り、同社の社員第一号になった。顧客サービスの管理を任された彼は、5万ドルの給与をビットコインで支払ってほしいと要望。おそらく世界初となる、稼ぐのも使うのもほとんど暗号通貨のみという人物になった。

顧客サービスを通じ、カールソン=ウィーは自社の業務内容に精通するようになる。やがて彼は、定型的な質問への回答を自動化するのに貢献。ビットコイン検定のようなものも考案し、求職者をふるい分けるのに使っている。最終的には8人を雇い、その全員にビットコインで給与を支払った。その後、リスク管理の責任者に昇進すると、人工知能(AI)のアルゴリズムを駆使し、コインベースでの不正行為の発生率を75%低下させた。

文 = ローラ・シン イラストレーション = メガポント / フォリオ 翻訳 = 町田敦夫

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