子育てママたちが生んだ「ベビーシッター版ウーバー」の奮闘

Oksana Kuzmina / shutterstock.com

ベビーシッター界のウーバーとも言えるサービスを展開する「アーバンシッター」(UrbanSitter)が、1700万ドル(約20億円)のシリーズC資金調達を行い、アトランタやオースティン、ポートランド等の都市にサービス地域を拡大しようとしている。

今回の資金調達で注目すべきは、100万ドルを超える資金がアーバンシッターのヘビーユーザーたちから注がれたことだ。同社の創業者兼CEOのリン・パーキンスは「顧客たちの多くはこのサービス無しでは暮らしていけないと思っている」と話す。

アーバンシッターは顧客の近隣のベビーシッターを、3分以内で手配可能な点を売りとする。同社はこれまで累計で4000万ドル(約45億円)の資金を調達している。

女性ユーザーたちから資金を調達できたことを、パーキンスは非常に喜ばしく思っている。「女性たちは家庭で重要な役割を果たす一方で、お金に関する決定権は夫に握られている場合が多い」と彼女は言う。

今回の出資元には元ゴールドマン・サックスのLinnea Robertsも居る。彼女はこれまで女性起業家の企業や女性が関わるプロジェクト向けの出資を行ってきた。また、昨年公開されたウォールストリートの女性たちを描いた映画「マネー・スキャンダル 破滅への欲望(Equity)」にも関わった。

「自分が個人的に共感できるプロジェクトに出資をしたいと思った」とRobertsは言う。

パーキンスがアーバンシッターのアイデアを思い立ったのは、2010年。よちよち歩きの双子の子育てに奮闘している時だった。当時は様々なオンデマンドサービスの勃興期だったが、ベビーシッターを手配するサービスは他に無かった。

「子育ての悩みを抱えた母親が、テクノロジーの力で世の中を変えようとする試みは、投資家にとって非常に魅力的だ。ベビーシッターの分野は時代のニーズからかなり遅れていた」とRobertsも言う。

今回のシリーズC資金調達はAdvance Venture Partners(AVP)が主導し、既存の出資元のCanaan PartnersやAspect Ventures、DBL Investors、First Round Capital、Menlo Ventures 、Rustic Canyon Partnersらも参加した。
AVPの創業パートナーのDavid IbnAleはパーキンスのスタンフォード大学時代の同級生で、20年来のつきあいだという。

「パーキンスの試みは以前から知っていたが、自分にも2年少し前に子供が出来てからは、アーバンシッターのサービスがいかに素晴らしいかを実感するようになった」とIbnAleは述べた。彼はパーキンスが女性たちからの支援を受けていることを、高く評価している。

「実際にサービスを利用する顧客からフィードバックを得られるのは、大きなメリットだ。しかも、彼女たちがプラットフォームの成長に向けて資金を注いでくれることは会社にとって大きな励みになる」

サンフランシスコ本拠のアーバンシッターは、調達資金で新たな都市に進出すると同時に、曜日を決めて同じベビーシッターを呼べる定期型のサービスも始動させようとしている。

編集=上田裕資

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