市場はどう反応するか、「メキシコ産」の新アウディQ5

アウディQ5




「アウディの4駆」といえばクァトロだが、クァトロ・ウルトラと呼ぶQ5のシステムは4つのホイールを賢く制御する。たとえば、高速道路をゆったりクルーズするときなどは、後ろ2輪にはトルクを送らない。もちろん、これで燃料が節約されるためだ。前輪がスリップし始める途端、後輪が作動すると同時に、適度なトルクが4輪に送られて安全性を保つ。

ドライブモードは4つある。セレクト・ボタンでドライブ・モードを選択すると、スロットル反応からトラクション・コントロール・システム、ステアの重みまで選ぶことができる。いちばん基本な設定のサスペンションは、驚くほどスポーティで固いので、ほとんどのドライバーはむしろ「コンフォート」を選ぶはず。思い切りスポーティに走りたいときは、「ダイナミック」に入れれば、ボディロールやピッチングを押さえられ、スポーツセダンに近いハンドリングが可能となる。

外観の上品さはインテリアにも引き継がれ、ここでもA4のデザインを受け継ぎつつ、さらに上質な素材が用いられている。室内のどのパーツも見た目がよく、手触りも気持ちいい。 ギア・ノブは本革巻で、8.3インチのタッチパッド・スクリーンのセットアップも使いやすい。座り心地のよいシートもうれしい。視認性は360度良好だし、後部席のスペースは大人にとってもこれまでよりゆとりができた。



また、セーフティ面にも進化が見られる。新Q5に採用されたアダプティブ・クルーズコントロールは、ノロノロ運転の渋滞時に操舵してくれるし、レーン・キープアシスト機能も搭載された。そして、他のクルマとの車間距離が危険と察知すれば警告もしてくれる。

ボディの側面は、死角モニターがチェックしている。ドアを開けようとするときに、歩行者や自転車が接近していて危険と判断すると、ドアハンドルの窪みにある赤いライトが光って警告する。それでもドアを開けて出ようとすると、警告を無視しているとモニターが判断してドアが開かないようにすることもできる。

アウディがQ5にかける期待は高く、計画は壮大だ。その実現を阻む要素があるとしたら、価格と、メキシコ製ということに市場がどう反応するかに尽きるだろう。僕が試乗してみた限り、何の問題も見つからなかったし、700万円からという価格もライバルと比較してちょうど良い設定だと思う。

では、Q5はアウディのラインナップでA3につぐランキング2位になれるのか? それは時間が答えてくれるだろう。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
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文=ピーター・ライオン

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