「地元愛」を環境保護に活用 村単位で広める持続可能な漁業

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レアがフィリピンで今までにプログラムを確立しているのは、沿岸の自治体800か所のうち90か所。地元のリーダーを選出し、より生産的で環境に優しい漁業をコミュニティーに指導し、混獲量を下げて漁獲量を増やす漁業用具を提供している。こうした3年がかりの「プライドキャンペーン」の結果、コミュニティーには活気が出て、健全な漁業が育っている。

そうした場所の一つが、フィリピンのカンティランだ。かつてはダイナマイトや使用が禁止されている網を使い漁獲資源を破壊していたが、今では伝統的な漁業復活への道を共に歩み始めている。それも全て、地域の人の心が動き、持続可能な漁業の仕方を受け入れたからだ。

母なる地球を癒やすためには、憂慮すべきデータやグラフを示すだけではなく、人々の心にどう語りかけるかを理解しなければならない。現在、フィリピン中のコミュニティーが「管理された漁業」の考え方を受け入れている。一つの村が「マリーンコモンズ(共有の海域)」への責任を持てば、これは未来への投資になる。

気候変動に関する報道は、人々の間に絶望感を生んでいる。ハリケーンや洪水、大規模な森林火災──私たちはテレビにくぎ付けになり、iPhoneを手に祈りながら、目を離すこともできず、絶望にのみ込まれる。真の変化を起こすには、エンパワーされている(力を与えられている)と人々に感じさせる必要がある。変化を起こすために、コミュニティーや日常生活でもできることがあること、解決策があることを、人々は知らねばならないのだ。

私たちは、最新の災害にただカメラを向けることをやめ、問題への対応に焦点を当てた「ソリューションズ・ジャーナリズム」を実践し、その視点で書かれたニュースを読まなければならない。私たちが直面する環境問題などの課題に、人々はどう立ち向かっているのだろうか? 私たち全員が「住みたい」と思う世界を構築できるかどうかは、今までに実践された解決策のどれが成功しているのかを知っていることにかかっている。

レアが地域で収めた多くの成功は、私たちへの教訓となる。持続可能な世界を作るには、全コミュニティーの全員の力が必要なのだ。私たちはそれぞれが、ふるさと、地域、周りの自然とつながっている。こうした深い感情的なつながりを利用すれば、世界を変えることができる

編集=遠藤宗生

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