「地元愛」を環境保護に活用 村単位で広める持続可能な漁業

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地球を持続可能な場所にするための取り組みは、一つ一つの村ごとに行わなければならない。自分の出身地を大事に思わない人はいないし、私たちは全員コミュニティーの持続を望んでいる。

私はこれを、環境保護に取り組むNPO「セーブ・ザ・グレート・サウス・ベイ」の設立・運営を通じて学んだ。私たちは、今日世間を分断する多くの問題について言い争うのではなく、「病んだ」湾という問題への共通の解決策を探している。

人間は誰しもが最終的には同族中心的なのであれば、その「地域の誇り」を活用しなければ、という結論に私は達した。地元の魚やカキを食べ、子孫のために水を守る。そして、自分たちの取り組みを徹底的にブランド化するのだ。

そんな中、国際的に活動する非営利環境保護団体「レア(Rare)」の存在を知り、その最高経営責任者(CEO)のブレット・ジェンクスと知り合うことができたのは大きな喜びだった。設立36年のレアは、56か国で活動し、350か所以上の地域でマスコットやトロフィー、賞を活用した「プライドキャンペーン」を行なっている。

人は、自分の良い仕事ぶりを友人・隣人に認めてもらいたいものだ。そうすることで、集団としてのアイデンティティーが強化される。「地球温暖化」という抽象的な問題を議論するように言われても、どこから始めればいいか分からないが、湿地やマングローブ、湾や漁業、周りの森林を保全することがコミュニティーにどれほど重要かを意識させれば、取り組みを強化して、できることから実践することができる。

政府や大規模なNGOの大半は、政策を立ててグローバル目標を設定し、マクロレベルで取り組む。それに対し、レアは「ロングテール(小さな要素も合計すれば無視できない量になること)」の考え方に注目し、地域に焦点を当てることを通じて個人の行動を変えることを目指している。持続可能な漁業を構築するには、大規模な産業的・商業的漁業の規制以上のことを行わなければならない。私たちは、地元で漁業を営む95%の人々に対し、持続可能な漁業を指導する必要があるのだ。
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編集=遠藤宗生

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