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2017.10.11

ミレニアル世代の心を掴む「広告」とは

Monkey Business Images / Shutterstock.com


さらに、タイ、インドネシアに共通する傾向として、1998年のアジア通貨危機時に物ごころがついていた80年代生まれは生活に堅実さが見られることに対し、90年代生まれは変化を恐れないなど世代間における意識の差があると指摘。

こうした考え方のギャップがデジタルへの対応に如実に表れていると分析した。独自の調査結果に会場からは大きな拍手が上がり、いかに東南アジアのミレニアル世代への関心が高まっているかを感じさせる一幕となった。
 

博報堂生活総研アセアンのチーム、中央が所長の帆刈吾郎氏。

博報堂生活総合研究所アセアン所長の帆刈吾郎氏は、アセアンで地に足を付けた取り組みをすることで生かせる視点があると話す。

「普通の人の暮らしにこそ、真実があると思っています。“生活者目線”で地道な調査を行い、切り込んでいくからこそ新たな提言が出来る。とりわけ、東南アジアは日本よりも若年層の勢いが強く、インフルエンサーマーケティングも日本より先行している印象があります。アセアン発で新たな取り組みを行い、日本にそれを戻す“リバース・イノベーション”を目指しています」

世界の広告市場を制す キーワードは「生活者目線」

前出のトヨタ「iROAD」プロジェクトを手掛けた志村氏が強調していたのも、まさに「生活者目線」の重要性だ。一見当たり前のようでいて、ビジネスの渦中にあると隙間にこぼれ落ちてしまいがちな「生活者」が求めている“真の需要”をクライアントと共に深く掘り下げ、浮き彫りにしていく。

世界各国からの参加者が注目した、日本勢に共通する「生活者目線」というキーワード。小手先のアイディアではなく、人々の暮らしを快適にし、社会の課題を解決するような一歩踏み込んだ仕事が、これからの広告業界に求められていることを示唆しているのかもしれない。

文・写真=海野麻実

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