トランプの危機対応が非倫理的である理由

Photo by Jabin Botsford / The Washington Post via Getty Images

偉大なリーダーは、ハリケーンの直撃を受けたプエルトリコが直面しているような人道的危機にさまざまな方法で対処する。トランプ大統領が用いる3つの主要なリーダーシップ手法と、なぜその手法が非倫理的で非効率的なのか、理由を以下に示す。

1. 他の指導者を非難する

ドン・ヘンリーは、『ダーティー・ランドリー』という曲の中で、ニュースメディアは「人が落ち込んでいるときに蹴りつける」と批判しているが、これはトランプ大統領がプエルトリコの市長に対して行ったことと同じだ。

大統領はツイッターに、「サンフアン市長をはじめとするプエルトリコの指導者のリーダーシップ能力はとても低く、作業員らに支援活動をさせられていない。コミュニティーでの取り組みであるべきなのに、すべてが他力本願だ」と投稿した。

プエルトリコが米国コミュニティーの一部だということに、大統領は気が付いているのか? もし気付いているのなら、このような批判が何の復興の助けになるというのだろうか?

サンフアン市のカルメン・ユリン・クルス市長はこの子供じみたいじめ行為と同じレベルでは応じず、ツイッターに「ゴールは一つ、人命救助だ」「今こそ私たちの『トゥルー・カラーズ(真の色)』を見せる時。他の何にも気をそらされたりはしない」と英語とスペイン語でつぶやいた。

これこそが、高潔なリーダーシップだ。

2. 自分の手にある最も重要なリソースを見落とす

ラッセル・オノレ中将は、危機に効果的に対処する方法を心得ている。ニューオーリンズをハリケーン「カトリーナ」が襲った際に救援活動を指揮した彼は、最近CBSニュースが行ったインタビューで、トランプ政権が強いリーダーシップを容易に示せたものの、失敗したと指摘した。

最初の誤りは、「軍に任務を与えなかったことだ」とオノレは言う。「陸軍にはポート・オープニング部隊(有事に空海港を確保し流通拠点を設置する部隊)がいるが、呼ばれなかった。すべての町に配属できたはずの特殊部隊がいたが、派遣されなかった」

記者に「あなたならまず道路をきれいにしますか? それとも送電網の整備?」と聞かれると、「順にやるような作戦ではない」と返答。「私なら、地元自治体の首長たちに人員を雇うように言い、黄色いスポンジを持ってきて、道路をきれいにする。昔ながらのやり方で。80人が道具を持って道を片付ければ、1日5マイル(約8キロ)をきれいにできる」

ここで、さらに根本的な疑問が浮かぶ。なぜトランプは、まずオノレ中将に連絡を取らなかったのか? 優秀なリーダーは、自分の限界を知っている。つまり、必要ならば、他の優秀なリーダーに助けを求めるのだ。
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編集=遠藤宗生

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