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2017.10.10

人工衛星で海上輸送を変える「次世代スタートアップ」Spireの挑戦

Yaniv Schwartz / shutterstock.com

世界の海上では輸送船やクルーズ船、小さな漁船など毎日数万台の船が行き交っている。国際海事機関(IMO)のデータによると、世界の貿易の約90%は海上輸送で行われている。巨大な貨物を運ぶ場合、船での輸送がコスト的に最も効率的な手段だ。

ただし、海上を行き交う船をトラッキングするのは容易なことではない。今年のフォーブスの「Next Billion Dollar Startups」に選ばれた「Spire Global」は、40個の人工衛星のデータを活用し船の航路を把握している。人工衛星は合計で一日あたり1000万件以上の船に関わるメッセージを発信しており、Spire Globalはこれをマシンラーニングの仕組みで解析し顧客らに提供する。

Spire は「Spire Sense」というサービスでは航路のトラッキングや違法漁船の位置データ等を提供し、海上保険や海難救助に役立てている。また、「Spire Status」と呼ばれるサービスでは海上の気象データを提供する。

「我が社のプラットフォーム上では特定のエリアの船の動きや位置、個々の船がどこに向かっているのかを把握できる」とSpire GlobalのマネージャーのKyle Brazilは述べる。

Spireが打ち上げる人工衛星は、大型で高価な従来の衛星とは別のものだ。Spireは小型でコストが安く、手軽に打ち上げが可能な人工衛星を自社で開発している。打ち上げの度に機能をアップグレードし、取得可能なデータに磨きをかけている。

Spireは同社のサービスを通じ、海上輸送を現在よりも詳細にトラッキングが可能なものにし、顧客らが輸送中に迅速な業務決定を下せるようにしている。

「船が時間通りに港に到着するか、誤った海域に入り込んでいないかといったデータを、顧客らはその場で把握できる。このテクノロジーは海上輸送の現場に大きな前進をもたらすことになる」とBrazilはいう。

Spireは2012年に設立されサンフランシスコに本拠を置いている。同社はこれまで累計で7000万ドル(約80億円)以上の資金を、Promus Ventures等から調達している。

編集=上田裕資

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