ただし、海上を行き交う船をトラッキングするのは容易なことではない。今年のフォーブスの「Next Billion Dollar Startups」に選ばれた「Spire Global」は、40個の人工衛星のデータを活用し船の航路を把握している。人工衛星は合計で一日あたり1000万件以上の船に関わるメッセージを発信しており、Spire Globalはこれをマシンラーニングの仕組みで解析し顧客らに提供する。
Spire は「Spire Sense」というサービスでは航路のトラッキングや違法漁船の位置データ等を提供し、海上保険や海難救助に役立てている。また、「Spire Status」と呼ばれるサービスでは海上の気象データを提供する。
「我が社のプラットフォーム上では特定のエリアの船の動きや位置、個々の船がどこに向かっているのかを把握できる」とSpire GlobalのマネージャーのKyle Brazilは述べる。
Spireが打ち上げる人工衛星は、大型で高価な従来の衛星とは別のものだ。Spireは小型でコストが安く、手軽に打ち上げが可能な人工衛星を自社で開発している。打ち上げの度に機能をアップグレードし、取得可能なデータに磨きをかけている。
Spireは同社のサービスを通じ、海上輸送を現在よりも詳細にトラッキングが可能なものにし、顧客らが輸送中に迅速な業務決定を下せるようにしている。
「船が時間通りに港に到着するか、誤った海域に入り込んでいないかといったデータを、顧客らはその場で把握できる。このテクノロジーは海上輸送の現場に大きな前進をもたらすことになる」とBrazilはいう。
Spireは2012年に設立されサンフランシスコに本拠を置いている。同社はこれまで累計で7000万ドル(約80億円)以上の資金を、Promus Ventures等から調達している。