ビジネス

2017.10.06

私が「世界医師会次期会長」として日本に期待すること

日本医師会会長、横倉義武氏


──地域間の医療格差をどう考えているか。

日本は国民皆保険により貧富による医療格差は大きくありませんが、地域による医療格差は存在しています。医療の高度・先進化が進むなか、高度急性期医療が受けられる地域と受けられない地域との医療格差がどうしても生じてしまう。この問題の解決は、高度急性期病院と地域の医療機関のアクセスをいかに良くするかです。

その一つは、包括的な地域医療、遠隔医療の仕組みをつくり、患者の情報を地域の医療機関が共有すること。もう一つは、ドクターヘリ、ドクタージェット等を活用した体制をつくることです。これは厚生労働省主導で15年に始まった、都道府県ごとに地域医療のビジョンを策定・推進する「地域医療構想」、及び、医療、介護福祉サービスを包括的に提供する体制を構築する「地域包括ケアシステム」のなかでも、その取り組みが始まっています。

また今後は、医師の経験や技量による医療格差も減らしていくべきと考えています。患者が自らの意思で医師や治療を選択できるよう、セカンドオピニオンを医師が推奨するようでなくてはいけない。そうした啓発活動や、医学生に対する倫理教育をしていく必要があるでしょう。


横倉義武◎1944年、福岡県生まれ。久留米大学医学部卒業。医療法人弘恵会ヨコクラ病院理事長。2012年、開業医、勤務医、合わせて約17万人が加入する日本医師会第19代会長に就任。17年10月、第68代世界医師会会長に就任予定。

構成=嶺 竜一 イラスト=山崎正夫

この記事は 「Forbes JAPAN No.39 2017年10月号(2017/08/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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