「Way of the Future(未来の道)」と呼ばれるこの団体は、人工知能(AI)が作り出す神を崇拝し、社会の発展に貢献することを目的に創設されたという。最初にWiredが報じたこのニュースは、それ自体が驚愕に値するニュースだが、ウーバーにとって頭が痛いのは同社の現役幹部のLior Ronが、この宗教団体のメンバーとして登記資料に登録されていることだ。
レバンドウスキーとRonはグーグル時代の同僚で、二人は2016年に自動運転トラック企業のOttoを設立。同社はその後、ウーバーに買収されていた。
Ronはフォーブスの取材に「(宗教団体に)自分の名前が登録されていることには驚いた。私はこの団体とは何の関わりもない」と述べている。
今年5月にウーバーから解雇されたレバンドウスキーは、そのひと月前の4月、カリフォルニア州にNPO団体としてWay of the Futureを登録。そこにはCFOとしてLior Ronの名前が記載されていた。Way of the Futureの教会施設はレバンドウスキーの弁護士のJohn Gardnerが、2015年9月に登記を行っていた。
この宗教団体が本当に宗教目的で設立されたものなのか、税控除の目的で作られたものなのかは定かではない。しかし、カリフォルニア州では許認可を受けた宗教団体は、一定額の税控除を受けることが可能だ。
ここで興味深いのは、Way of the Future設立のタイミングだ。2015年の9月といえば、グーグルがJohn Krafcikを自動運転部門のCEOに任命した直後のことであり、そのポジションはレバンドウスキーが狙っていた役職だった。その後、グーグルは自動運転部門をウェイモとして2016年12月に独立させた。
ウェイモとウーバー間の裁判資料で、グーグルの同僚だったRonとレバンドウスキーらは2015年の秋から独自の自動運転企業の立ち上げを企んでいたことが判明している。二人は翌年1月にグーグルを退社後、Ottoを起業していた。
ウェイモは今年2月、グーグルの自動運転部門の創立に関わったレバンドウスキーが、社内のサーバーから1万4000ファイルにのぼる機密資料を盗み出した容疑で告発した。レバンドウスキーらが立ち上げたOttoは、ウーバーが2016年8月に推定6億8000万ドル(約768億円)で買収していた。
Ronはグーグルに勤務する以前には約7年間、イスラエル軍の諜報テクノロジー部門に勤務していた。彼らが果たして本当にWay of the Futureを宗教目的で立ち上げたのかどうかは定かではない。しかし、この2名が告訴の対象になっていることは確かだ。