InkittのCEOで創業者のAli Albazazは「全ての書き手に平等なチャンスを与えたかった」と語っている。10歳でプログラミングを始めたAlbazazは2012年に趣味で小説を書き始め、作品をシェアするためのプラットフォームを設立した。それが後に、Inkittと呼ばれる場に成長した。
当初はAlbazazの趣味のプロジェクトだったInkitt は、2014年頃には1000名の以上のライターと読者を集めるようになった。その後、Albazazはここからベストセラーが生み出せるのではないかと考えた。
「『ハリーポッター』を書いたJ・K・ローリングも出版社に13回も断られていた。編集者が主観で作品を選ぶのではなく、サイト上のエンゲージメントやその他の指標から売れる作品を抽出できるのではないか。そう考えてInkittのプロジェクトを本格的に始動させた」
Inkittのシステムは読者の行動分析に基づいている。例えばある作品を読者が夜を徹して読み続けているのをシステムが検知したら、Inkittのスタッフがマーケティング支援を行い、社内で製本した後にアマゾンに送り込む。
Inkittは先日、390万ドルの資金をFrontline VenturesやSpeedinvestから調達し、これまでの累計調達額は500万ドルに達した。Inkittは間もなくニューヨークにオフィスを開設し、セールス及びマーケティングスタッフを現地で雇用する。データサイエンスチームは引き続きベルリンの本社でのオペレーションを継続する。
Albazazによると、Inkittは既に4万5000名以上の作家を抱え、読者は100万人以上に達しているという。「今後はオーディオブックの出版も開始するほか、バーンズ・アンド・ノーブル等の大手書店との取り組みも始動する。映画業界向けにライセンス販売も進めていく」とAlbazazは語った。