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クリス:日本のサラリーマンコミュニティを作り直さなければならないとは思っていないけど、「ずっと同じ仕事をしなければならない」という考え方は変えたいかな。

入山:それは重要ですね。日本では今、「働き方改革」が進んでいて、ワークスタイルを見直すべきという風潮があります。そんな中でWeWorkはすでにアメリカなど各地で変革を起こしている。その変革とは具体的にはどんなもので、日本ではどんな変革を起こしたいですか?

クリス:いや、もともと文化やワークスタイルを変えたいとは思っていないんだ。デジタルやテクノロジーによって意見やエネルギーの交換を引き起こしたいと思って、この会社を作ったんだよ。

自分でインパクトを起こしたいのではなく、会社を作ったら自然とインパクトが起きたんだよ。例えばスティーブ・ジョブズがずっと同じ仕事をやっていたら、今の世界は全く違ったものになっていただろう。だから僕はみんなの働き方が変わるチャンスを提供したいんだ。一番期待しているのは、むしろ日本の皆さんが影響を起こすことだよ。

入山:なるほど。「働き方改革」が主張こそされているのになかなか進んでいないこともあって、日本人はWeWorkにかなり期待しています。だからこそちょっと意地悪な質問かもしれませんが、WeWorkにとって日本は新たなスタイルを植え付けやすい国なのではないしょうか?

クリス:16くらいの国を回ってきたけど、どこでも同じ質問をされるよ。「どんな風にしてうちの国の文化を変えるのか?」ってね。けれど、僕らは文化を変えようとはしていない。プラットフォームや業界を作れば自然と文化も変わっていくと思っているんだ。

入山:そういう意味では、日本にすごく期待してくれているということなのかもしれませんね。

WeWorkの恩恵を最も受けているのは大企業



入山:では、会場の方から何か質問はありませんか?

会場:日本でビジネスを始めるにあたって、障壁だと感じていることはなんですか?

クリス:現実的な点で挙げるなら、とにかく早めにビルを建てたいってことだね。長期的な課題を挙げるなら、小さな会社と大きな会社が対極なビジネスをやっているときに、これらをどうやって結びつけられるのかを考えたい。僕らはスペースやプラットフォームを使ってその方法を模索したいんだ。

とりあえずは、マイクロソフトみたいな会社にスペースをどんどん使ってもらえればありがたいかな。実は、WeWorkによって特に成長を加速させているのは大企業なんだ。他には同じビル内でコラボするだけでなく、大きな会社からお金をもらってラボの開設や研究事業もできたら良いね。

入山:これもポイントですね。このイベントのキーワードの1つは「オープンイノベーション」ですが、大企業とスタートアップの間でのコラボは日本ではなかなかありません。

イノベーションとは「知と知の組み合わせ」です。80年以上前、経済学者のヨーゼフ・シュンペーターは、今まで出会わなかった知と知が組み合わさることでイノベーションが生まれると言いました。だけど人間の認知には限界があるので近くのものしか見ることができないので、大企業にはなかなか知の組み合わせが起こせないんです。

だから大企業にとってスタートアップ──彼らかすれば未知の場所ですね──との出会いが大事なんだけど、なかなかそれができない。最近はSMFG(三井住友フィナンシャルグループ)が渋谷にコワーキングスペースを作るなどの実践が始まってきているけど、WeWorkは世界でそれを率先しているんですね。大企業が一番恩恵を受けているというのは、そういう意味だと思います。

では、最後に日本に向けてメッセージをお願いします。

クリス:僕らが意見をシェアできる文化や新たなワークスタイルを作るのではなく、みんなで一緒に作っていければと思っている。大事なのは常に『人間』だ。一緒に頑張ろう。

文=野口直希 写真=小田駿一

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