2016年にプレイステーションVRやオキュラスリフト、HTC Viveといった有力デバイスが発売されて以来、VRが一般消費者の関心を集めるようになった。また、スマートフォンと連携して動作するモバイルVRヘッドセットの分野も、サムスンのGear VRやGoogle Daydreamの対応機種がここ数ヶ月で市場に投入され、巨大な成長が見込める。
一方でAR向けヘッドセットは、まだ発展の初期段階にある。その筆頭といえるのがマイクロソフトのホロレンズであり、謎の存在と囁かれるマジックリープにも関心が集まっている。また、アップルのARKitも独自の発展を遂げそうだ。
VRがデジタル世界への完全な没入感を売りとする一方で、ARは現実世界にデジタル世界を重ね合わせて投影するのが特徴だ。アップルのティム・クックCEOは特にARに意欲を燃やし、ARが今後の“コアテクノロジー”になると主張する。クックは「長期的観点から見ると、ARのほうがVRよりも巨大なビジネスに成長する」と述べている。
IDCの予測では、2019年まではVRヘッドセットが90%以上の市場シェアを獲得するが、2020年から2021年にかけてはARが爆発的成長を遂げ、やがて市場の4分の1を獲得するという。
IDCのモバイルデバイス担当アナリストのJitesh Ubraniは「現状のARヘッドセットの出荷台数は、今から5年後と比べるとごくわずかなボリュームでしかない」と述べた。今後の成長を牽引するのはARであるというのが彼の主張だ。
「ARヘッドセットの売上は2021年までに300億ドル(約3.3兆円)に達し、VRヘッドセットのほぼ倍の売上になる。ARは商用利用から普及が進み、ヘッドセットの単価もVR向けより高額になる。ほとんどの消費者はARをまずモバイルで体験するが、アップルのARKitやグーグルのARCoreに対応したアプリが、コンシューマレベルのARヘッドセットの普及を推進していくことになる」とUbraniは述べた。