他のミレニアル世代の母親たちと同様に、何か困ったことがあればネットで検索するのが二人の習慣だった。
「今でも思い出すのは、赤ちゃんと一緒に飛行機に乗る時のハウツー動画を探してみた時のこと。役に立つ動画が一つも無いことに驚いた。マスカラの塗り方みたいな動画は山ほどあるのに」とウォーカーは言う。
ディズニーの社員だったレスニコフも、同じ思いを抱えていた。彼女と同世代の母親たちの心に響く、率直なユーモアに満ちたコンテンツがあまりにも少ないのだ。2014年に二人は共同でママ向けの動画チャンネル「What’s Up Moms」をユーチューブに開設した。当初から広告で収益化することを考えていた。
「口コミだけで支持を集め、最初の2ヶ月で再生回数500万回を突破した」とレスニコフは言う。その後、企業からの広告オファーが舞い込みはじめ、キッチンやトイレタリー用品のトップメーカー、KOHLER社のブランディングを手がけるようになった。
What’s Up Momsは今年、フォーブスが選ぶ「トップインフルエンサー」の育児部門の1位になった。ユーチューブページを開くと、二人がラッパーのイギー・アゼリアのヒット曲をパロディ化し、再生回数が5000万近くに達した動画「I’m so pregnant」が掲載されている。
しかし、これらの動画は新しい視聴者を引きつけるためのもので、二人が本当に力を注ぐのは、育児や家事がらみのハウツー動画だ。さらに化粧品のクリニークや、菓子メーカーのMottsといった企業の広告キャンペーンも行っている。
What’s Up Momsは今や、ユーチューブの育児チャンネルで最大の視聴者を獲得するまでに成長した。レスニコフとウォーカーは12名のスタッフとともに、100万ドル単位の広告案件を手がけている。最近では、買収提案も受けるようになったが断っている。
チャンネルを立ち上げた当初は、大手メディアとどうやって競い合っていくか悩んだ時期もあった。しかし、What’s Up Momsは外部からの投資を一切受けず、広告営業チームも抱えず、全く初期の段階から黒字化に成功した。
「資金面の心配はしていない。同世代のママたちが見たい動画だけを作っていきたい」とウォーカーは話した。