アップルは、iPhone XとiPhone 8シリーズを同時に発表することで、iPhone 8シリーズの売れ行きが不振でも、iPhone Xの売上で補えると考えた。これは興味深い賭けだが、結果が判明するのは一年後だろう。
Galaxy Xのリリースを控えたサムスンも、同じ悩みを抱えている。同社がアップルと同じ状況に陥ることを避け、Galaxy S9の人気を確保するためにはどうすれば良いだろうか。
Galaxy Xは、サムスンにとって初となる「折り畳みスマホ」になる予定だ。同社は数多くの特許を取得し、折り畳み技術の開発に何年も前から取り組んできた。サムスンの技術はiPhone XやNote 8といった革新的なデバイスを支えている。同社の最新テクノロジーを搭載したGalaxy Xに対する期待は大きい。
筆者はアップルがiPhone Xをフラッグシップ端末として位置付けたのとは異なり、サムスンがGalaxy Xを「Galaxy Note Edge」と同じ扱いにすると予想する。かつて、サムスンはNote Edgeと「Note 4」を同時期にローンチした。右側面に曲面ディスプレイを採用したNote Edgeは批評家から高い評価を得たが、サムスンはこれをフラッグシップモデルとは位置付けず、2014年9月に韓国限定で、数量も限定して発売した。
サムスンは一つの市場に絞って曲面ディスプレイをテストした後、2015年3月に技術をさらに進化させた「S6 Edge」を、平凡な「S6」と合わせてリリースした。
サムスンは、幅広い製品ポートフォリオを管理することに長けており、2つの機種を立て続けにリリースしても、先行モデルの売上を損ねない方法を心得ている。筆者は、サムスンがGalaxy Xを2019年のCESでローンチすると考えている。この時期であれば、サムスンのスケジュールはまだ空いている。
「X」は韓国で先行発売か
また、最近サムスンの新端末がBluetooth SIGから認証を受けたことが明らかになったが、これがGalaxy Xであれば辻褄が合う。さらには、世界中のテック系メディアの注目を一身に集めることもできるだろう。
サムスンがGalaxy Xを実験的な製品として位置付け、最初は韓国に限定して発売すれば、S9の売れ行きに与える影響を最小限に食い止めることができるだろう。折り畳みスマホではないS9に目新しさを感じない人もいるかもしれないが、多種多様なモデルをポートフォリオに持っていることこそが、サムスンならではの強みだと言える。
iPhoneは機種が少なく、個々のモデルが万人向けに作られていると多くの消費者は受け止めている。一方、サムスンの場合は、SペンがNoteシリーズ限定であるように、モデルごとに機能が異なることが広く受け入れられている。サムスンにとって最良のシナリオは、Galaxy Xを1月初旬のCESで発表後に韓国限定で発売し、S9は2月後半のモバイルワールドコングレスで大々的に発表して3月に発売をすることだ。
この方法であれば、折り畳み技術を改良するためのデータを収集しながら、S9のローンチを成功させることができるだろう。