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2017.10.03

役所で働くお笑い芸人、半田あかりに見る「官民の越境」

お笑い芸人の半田あかり


しかし、鹿屋に来て全てが順風満帆というわけではなく、農家など住民とぶつかることもあった。しがらみが強い地方では、合理的だからといって物事が進むものではない。むしろ、地域で力のある人が言ったことに従うことこそが、合理的であったりもするくらいだ。

しかし、ここで半田は持ち前のコミュニケーション能力を発揮。伝え方を工夫しながら本音で話をすることで住民から信頼され、愛される存在となっていった。今では『半田あかりさんを囲む会』まで開かれるほど、多くの地域住民が集う場も生まれた。

大阪はハードな内容の方が笑いに繋がるが、「鹿屋では分かりやすくて皆が共有できるものが好まれる」と半田。この分析はまさにプロらしい発言だが、今でも日々、新しいことがあり、勉強の連続だという。

官民における“越境”の可能性

既に鹿屋市で働き始めて1年半が経つ。仕事で意識していることを聞くと、「とにかく鹿屋の人たち皆に笑ってほしい」という答えが返ってきた。

近頃、“越境”という言葉がちらほらと聞こえるようになって来た。この半田の事例は「現役のお笑い芸人」×「地方自治体職員」という、今までになかった“越境”とを象徴するものではないだろうか。

この想像を超えた事例を鑑みると、我々が今まで思いもよらなかったような“越境”の可能性が、あちこちに転がっているように感じる。この事例もまさにそうだが、特に私は、日本の官民における“越境”を期待したいと願うのである。

文=加藤年紀

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