ビジネス

2017.10.09 10:00

イノベーションと共に進む「人間のデータベース化」の光と影

shuttestock.com


しかし、考えなければいけないことは、それだけではない。
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同じルールに基づくデータセット化やスコアリングに最適化した集団は、ルールのバイアスに伴う歪みも増幅するかもしれないし、ルールの想定を超える環境変化には脆弱かもしれない。

実際、偏差値教育から有名ガイドブックによるレストランの格付けまで、ルールに基づくデータセット化は水準底上げにはきわめて効率的な方法だが、一方でスコアの引上げを目的化してしまい、突き抜けた創造性を見逃してしまうリスクもはらんでいる。効率性と創造性、多様性をどう共存させるのか、という昔からの難題が、ビッグデータ時代には一段と重く降りかかってくる。

さらに、データセット化の中で、人間の幸福や行動の価値をどう考えるべきか、という問題もある。例えば、人間がドラマを作ったり、合コンに出かけたり、海外に投資をしたりするのはなぜか? それは究極的には、「やってみないとわからないから」ではないだろうか。
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これまでも、科学技術の進歩に伴い、幾度となく“決定論的な見方”が台頭した。ニュートンの物理法則の下、現時点での全ての粒子の重さや動きがわかれば、未来の動きも全て計算できるのではないか。DNA情報が全て解読できれば、将来その人がどうなるかもわかるのではないか──。しかし、そうした見方は、その後否定されていることが多い。

さて、「第四惑星の悪夢」の続きである。

コンピュータが「このままでは第四惑星は滅亡必至」との予測をはじき出し、ロボットたちは、生き残るために計算上唯一の解とされた地球侵略を企てる。しかし、その地球侵略はウルトラ警備隊員により、未然に防がれる。

無事地球に戻ったウルトラ警備隊員は、楽しそうにこう話す。「明日の天気は?」「晴れだ!」「いや雨ですよ!」

空高く投げ上げられる下駄は、表となるか? それとも裏か?

スティーブ・ジョブズは“死”を「生命の最大の発明」と呼んだが、“不確実性”も、この世界の最大の発明かもしれない。スポーツもビジネスも人生も、最後の最後、「やってみないとわからない」から面白いのだ。

文=山岡浩巳

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