ブレークスルー・スターショットが目指すのは、カメラと発信機を搭載した4分の1インチ(約6.35ミリ)四方の極小装置「スター・チップ」を、地球から最も近い恒星系であるケンタウルス座アルファ星に送ること。目的地までの距離は4光年(約38兆キロメートル)。ミリネルは装置の発射に、1キロメートル四方の巨大レーザーを使う計画だ。
ミリネルによると、チップにレーザーを数分間照射し、宇宙へと射出。速度は光速の5分の1で、目的地に着くには20年かかる。従来型の宇宙船は移動速度がはるかに遅いため、このプロジェクトには使えない。現在最速の宇宙船ですら、同じ距離を移動するには3万年かかるのだ。
スター・チップは、目的地に着いたら小さなレーザーを使って地球に画像を送ることになる。過去10年の技術発展が、これを可能にした。「もしiPhoneがなければ、こんなことはできなかっただろう」とミリネルは語る。「モノを小さくし、レーザーを通じた情報速度を速めることに、これまで何十億ドルも費やされてきた」
ブレークスルー・スターショットは試験段階にすぎない。最終的には、レーザーを建設し、ケンタウルス座アルファ星に向け次々とチップを発射するという、より巨大で費用のかかるプロジェクトが立ち上げられることになる。
55歳のミリネルは、自らの問いへの答えが手元に届くまでには何十年も待たなければならない。フォーブス誌のケリー・ドーランから「長生きできることを祈ります」と言われたミリネルは、待つのは平気だと返答。「打ち上げを見られるだけでも満足かもしれない」と語った。